国際人権活動日本委員会

撮影=鈴木信幸(港北区役所屋上庭園のネジバナ捩花。別名モジズリ綟摺)

doc-un-title自由権規約委/日本政府報告の審査(2014)

(国連人権高等弁務官事務所サイト掲載の“ディスプレイニュース”より訳出)
自由権規約委員会による日本政府報告審査(2014年7月15日~16日 パレ・デ・ナシオン)
Human Rights Committee considers report of Japan(翻訳:国際人権活動日本委員会)

▶PDFファイル(和文)▶原文(国連サイト)

NewsID14878

自由権規約委員会は今日、市民的および政治的権利に関する国際規約の規定の実施状況について第6回日本政府報告審査を終了した。

政府報告を行う在ジュネーブ日本政府代表部の岡田隆大使は、日本政府は人権の擁護と促進に向けて活発な努力を行っており、この報告書は 様々な官庁や市民団体を含む広範な協議の過程を経て作成された、と述べた。日本政府は2020年までに女性の指導的地位への割合を30パーセントに増やす ことを目指しており、すべての女性が秀でる社会が実現するよう努力を行う。大きな進展としては婚外子に対する差別が撤廃された。また政府全体として人身売 買の防止と廃絶そして被害者の保護に協調して取り組んできた。

議論の中で、規約委員会の委員たちは男女の性差による不平等に関しての質問を行った。特に、男女の最低結婚年齢や最低性交合意年齢、そし て離婚した女性に対する最低再婚期間についてである。議論はまた、「ダイヨウカンゴク」と呼ばれている拘禁制度、独立した国内人権機関の不在、精神病院入 院患者の待遇、日本の国内法の中における自由権規約の適用規定、LGBT(レズビアン、ゲイ、両性愛者、性同一性障害)の人たちの待遇、そして福島原発事 故の影響について行われた。アイヌの人たちの地位と人権についても取り上げられた。委員たちは死刑判決になる犯罪について多くを尋ね、また第二次大戦での 慰安婦の問題に関しても長い時間議論された。

閉会の辞において、委員会のナイジェル・ロドリー議長は、日本政府は定期的に委員会の審査を受け、勧告を受けているが、その勧告を実施しようとは していないように見える、と述べた。人権の尊重は、とりわけ日本のような先進国において、十分な物質によって左右される問題であってはならない。その一例 が、「ダイヨウカンゴク」制度である。もう一つ、何度も繰り返されている重要な問題は、「慰安婦」についてである。委員会としては、強制的に性奴隷にされ た女性と自らの自由意思に反して利用された女性を区別するということは理解できなかった。委員会は、日本が活発で開かれた市民社会を持ち、全般的に見て人 権を尊重している国であると理解している。だが、だからと言って、日本には人権に悪影響を及ぼす深刻な問題がないということにはならない。今後の日本政府 報告書の審査では、今回指摘されたと同じ問題を再び繰り返し議論する必要がないよう望むものである。

山中修外務省人権人道課課長はすべて委員たちの建設的な意見にお礼を述べた。人権の擁護と促進にはすべての国にとって長い経過を要した。 政府代表団はすべての質問に対して誠意を持って対応した。日本政府はこの点に関して努力を傾注し続け、国際社会と一層の協力を取って行くものである。

日本代表団の構成メンバーは、内閣府、外務省、男女共同参画局、法務省、検察庁、文科省、厚労省、そして在ジュネーブ日本国連代表部の代表である。

当委員会の次回の公開会議は7月17日(木)、午前10時に開催される。第9条の人の自由と安全に関する一般的意見の草案を続けて議論する予定である。

政府報告の説明 Report

報告 第6回日本政府報告はここ(CCPR/C/JPN/6)にて入手可能。

岡田隆日本国連代表部大使は、日本政府は人権の擁護と促進のために活発に努力をしていると述べた。諸官庁の多くがこの第6回報告書の準備 に携わってきた。政府はまた、外務省のHPを通して広く市民社会からの意見を歓迎した。そして、政府は人権に対する尊重を促進する観点で市民社会との対話 の重要性を認識した。

日本は、国際社会との協力や発展途上国への援助を強化しながら、日本の発展を導くために最大の潜在力のある女性の力を活用しようとしてい る。政府は2020年までに、女性の指導的地位の割合を30パーセント増加させようとしている。2013年に改正された法律に沿って、女性に対するあらゆ る形態の暴力を廃絶する努力を続ける。

2013年6月、障害者差別禁止法の成立に伴い、関連する立法措置の達成により、日本は2013年 12月、141番目の障害者権利条約の締約国となった。日本政府はこの関係で一層の努力が要求される。

精神保健及び精神障害者福祉に関する改正法は、精神保健制度の方向、非自発的入院手続きの見直し、そして入院患者の退院を容易にする精神病院長に対する追加措置を明確にする指針の設定を求めた。

日本は「低出生率の危機」といえる状況に直面している。これは社会経済の基盤に影響するだろう。大きな進展としては、婚外子に対する差別 の撤廃、部分的ではあるが国籍と相続権の取得がある。2008年の国籍法の改正により、結婚の届出を廃止し、認知による日本国籍の取得が与えられた。

人身売買は重大な問題であり人権侵害であるとの認識により、日本政府は2009年に人身売買の撲滅を図る行動計画を作成した。政府全体で 協力して人身売買の防止と根絶、そして被害者の保護に取り組んでいる。規定の各省間の連絡会議が定期的に開催され、被害者の保護に対する特別措置が導入さ れている。

2009年、裁判員制度の導入に伴い、刑事司法制度に大きな変化が起きた。この制度では、裁判員は一般市民から選ばれ、刑事裁判に参加し ている。これは刑事司法制度に対するより強固な市民状況を確立するためである。取調べにおける録音・録画の試行状況は、2012年から2013年の間の裁 判員裁判対象の事件では90パーセント以上で実施されている。諮問委員会ではこの制度の具体的計画を検討している。

質問事項(リスト・オブ・イシュー)に対する日本政府の回答をまとめた山中修外務省人権人道課長は、日本が批准した条約については国内法 の上位に位置付けられていると述べた。規約の直接の適用については個別事例に基づいて決定しており、規約の条項はすでに多くの国内法に適用されていると。 第一選択議定書に関して、日本は個人通報制度を注目すべきものと見ており、この問題を異なる部門の立場を考慮しながら真剣に検討している。日本の法令には あらゆる差別的取り扱いを禁止する規定が含まれている。男女平等に関して、日本は女性が制約から解き放たれ、能力を発揮する機会を与えられる社会を促進す るよう努めている。国と地方自治体は家庭内暴力に関して女性団体と協力して根絶に努めている。

日本政府は死刑制度が廃止されるかどうかに関して、世論を十分に考慮して、それぞれの国の利益に基づいて決定すべきと考える。日本人の大 多数は極めて凶悪な犯罪に対する死刑を支持している。死刑は回避できないような最も限られた事件のみに科されている。法廷における審理の迅速化のため、検 察官と弁護人の合意のもと、録音・録画の編集や短縮が行われている。様々な刑事事件を予測することが不可能なので、取調べの長さを予測することは困難だ。 しかし、尋問は、特別な例外を除いて、深夜や続けて8時間以上行うことを避けている。日本では、沖縄の人々を含め、すべての市民は伝統な生活様式を営み、 自国の言語を話し、信仰の自由の基で暮らしている。それでもなお、日本政府はアイヌの人々のみを少数民族として認めた。

日本政府は自国と海外の戦争被害者の苦しみに対し、深い反省と謝罪の気持ちを繰り返し表明してきた。政府は「慰安婦」を含め、世界第2次 大戦に関係する補償問題を取り扱ってきた。人身売買の被害者の保護に関して、逮捕者数は2009年の28名から2012年には44名に増加した。被害者が 滞在期間の延長、あるいは居住場所の変更を申請した場合、被害者の状況に対する正当な審査を経て、許可は原則的に認められる。警察や検察官は、この問題を 取り扱うに際し、直ちに適合できるよう適切な訓練を受けている。胎児認知されなかった婚外子は、出生後に日本国籍を有する父親によって認知され、20歳未 満であれば、法務大臣への届出によって日本国籍を取得出来るようになった。以前の規定は最高裁によって取り除かれ、現在、両親の婚姻は必要ではなく、婚外 子は父親または母親のみの認知を必要とするだけである。従って、国籍の取得に関する差別は解消された。学校における体罰を禁止する努力は継続している。文 科省はいかなる体罰も学校教育法の元で、厳しく禁止されている事実を広く普及している。学校や地域社会との協力により積極的な活動を展開しており、子供と のホットラインが施されている。2012年に370件の体罰の事例があった。

 委員たちからの質問 Questions by Experts

委員が指摘するに、2014年は日本が規約を批准して以来、35周年にあたる。しかしながら、何の対策も取られておらず、繰り返し指摘される懸念 が多く存在する。規約の直接の適用性について、政府代表団はどの条項が自動的に実行されたかを説明することによって、規約の存在を可能な限り明確に出来た のだろうか? 規約の国内法への適用が証明された具体的な事例がいくつかあったのだろうか? 規約の条項に対する違反が最高裁への訴えの基盤として認めら れたか?

第一選択議定書の承認に関して日本政府の現在の立場はどうなのか? この問題について検討した結果はどうなのか? この議定書を既に承認している120ヶ国以上の国からどのような教訓を学んだか?

委員は独立した国内人権機関の設立の進展が見られない点について尋ねた。このような機関の日本の法律ではすべての国民は法の下では平等で あると規定しているが、同時に「不合理な差別」は禁じられているとしている。委員会は「不合理な差別」とはどのようなものか定義するよう日本政府に尋ねて いるが、今まで回答が得られていない。日本はあらゆる差別を禁止する総括的な国内反差別法の採択を計画しているか?差別を取り扱う法的な機関を創設する計 画があるか? 他の委員は日本における家庭内暴力の発生率の高さにも関わらず、起訴される加害者の人数が大変少ないと指摘した。被害女性が保護命令を受け るのに約2週間を要している。代表団は、現行法では守られていない同性間あるいは恋人間の暴力から保護する情報があるか?日本のダイヨー・カンゴク拘留制 度は人権の原則に反し、世界に比すべきものはない。ダイヨー・カンゴク制度の下で、拘留場所は警察署にあり、合法的な代用拘留施設あるいは拘置所として使 用され、そして起訴前の23日間拘留される。この問題に関しては、複数の人権条約機関が懸念を表明している。男性と女性の間に差別的な最低結婚年齢が依然 として存在している。離婚後、6ヶ月以内に再婚してはいけないという女性に対する制限が同時に適用されている。精神障害者が、家族の評判をただ守るだけの ために、彼らの意思に反して精神病院に入院させられていることは事実か?日本は病院外での治療を広げているが、数千もの患者が移転先を見つけられず、依然 として病院に収容されている。日本が第2選択議定書の批准あるいは少なくとも死刑のモラトリアム(処刑の一時停止)を、選択議定書の採択25周年の今年に 選択しないことは遺憾であると、委員は表明した。日本においては死刑執行に関して不適切な秘密性が存在するように見える。日本政府は恩赦請求を提出中の死 刑確定者を処刑しているか?政府は何故、死刑確定者と弁護人間の会見の秘密性を尊重しないのか?別の委員は女性に完全雇用をもたらし、管理職へ登用するこ とが日本では成功していないことを尋ねた。男女の実質的な賃金格差についてさらに情報を提供していただきたい。政府は日本における少数者グループの女性の 雇用状況について調査を行ったことが全くないのか?

2013年、日本では在日朝鮮人に対する数百人の人種差別主義者による街宣デモが行なわれた。物理的暴力が生じるのでなければ、人種差別主義者のヘイト・スピーチは罰せられないのか?

専門委員は被疑者の取調べや目撃者の聞き取りの際における可視化についての情報を尋ねた。この点に関して、より一層の光がこの管理メカニ ズムに注がれるだろうか?日本では取り調べの際に手錠をはめるにあたり共通の取り決めが存在するか?締約国である日本は収監者に対する虐待への異議申し立 てを調査するようにとの前回の勧告を考慮したか?レズビアン、ゲイ、両性愛者、そして性同一性障害者の権利の問題が、委員により取り上げられ、日本では 「性障害」と見なされて名誉を傷つけているのではないか、と尋ねられた。締約国は国民年金制度に加入している在日外国人に対する特別な規定を制定したか。 国民年金の給付を受けている在日外国人、特に在日朝鮮人は何人で、受給額はどのくらいか?

委員は精神病院における虐待を防止するために、政府が取った措置について尋ねた。地域に根ざした代替施設を提供するために、十分な財政的 資源が投じられているか?テロ対策の名の下に警察による監視が続いているか?個人データを侵害された人たち、その多くであるモスレム人は賠償を与えられて いるか?

 日本代表団からの回答 Response by the Delegation

日本の法体系に関して、日本は批准した国際条約を遵守しなければならないと、日本国憲法は規定する。この条約は国内法に先行し、個々の事情に基づ き即座に適用されるだろう。訴訟において司法関係者は自由権規約を言及することが出来る。一例として、2013年、裁判所は片親が外国人の婚外子に対する 法的差別は憲法違反との判決を行なった。国際人権規約やその適用に関して、研修実習が裁判官に対して行なわれている。また検察官は十分な研修を目的とする 多くの講義に参加している。

個人通報制度に関する質問への回答として、この制度は規約を適正に実施することが出来る効果的なものと、日本は確信している。政府はこの 観点から行政措置を研究する必要を感じ、各国からの情報を収集している。総括的な差別禁止法の成立に関して、代表団曰く、すべての人は法の下で平等である と憲法は規定していると。 例えば、すべての国民はその能力に応じて等しく教育を受ける権利を有し、正当化し得る根拠なくして、いかなる人も診察あるいは 公共の交通手段の提供を否定されることはない。DV(家庭内暴力)の犠牲になっている外国人に関して、国による迅速な対応が必要である。在留許可書を検査 する際、多様な状況を考慮して対応している。日本政府は人道的な見地でこのような事例に対して最善を尽くしている。裁判所は防止命令の判決を出すこができ る。同性愛同士の公営住宅への入居は排除されていない。公営住居への入居は地方自治体の判断で認められる。新たな国内人権機関の設立法案は前国会の解散に より廃案となった。この機関の権限範囲についての議論は継続中。

婚姻最低年齢は男女の成熟度に基づいて決定される。結婚生活を維持できない若年者の結婚は禁止されなければならない。離婚後の再婚禁止期 間の説明として、代表団は、離婚の際に妊娠していた女性から生まれた新生児の父親を判断することは、その母親が離婚後、直ちに再婚した場合には極めて難し い、と述べた。警察の留置所内に被疑者を勾留することは、家族や弁護人が被疑者のもとに定期的に訪問し易いので大変都合がよい。警察の留置所を勾留施設と しての利用を禁止することは非現実的である。被留置者は留置施設視察委員会に不服申し立てをすることができる。被疑者は勾留後、直ちに弁護人を選べること を告げられる。被疑者が弁護人を選ぶゆとりがないとき、裁判所は国選弁護人を指名する。代表団は、現在の法体系の下において、受刑者に対する人権侵害が あった場合には適切な措置が取られている、と述べた。婚外子に対する差別は決してあってはならない、と代表団は繰り返し述べた。「合理的な差別」の定義に ついて、最高裁は差別に対する理性的な見地がなければ、差別を禁止するとの立場である。ヘイト・スピーチについての質問に答えて、代表団は表現の自由の範 疇に属さないヘイト・スピーチもいくつか存在していると述べた。死刑の質問に関して、死刑執行後、国民に公開する情報は本質的な事項に限られるべきであ る、と述べた。死刑に相当する犯罪は19の罪に限られており、内乱、外国からの侵略の教唆、居住住宅の放火、列車転覆、水道水への毒物汚染、殺人、強盗あ るいは強姦致死、爆発物の不法使用、複数殺人、ハイジャック殺人、人質殺人、組織殺人、そして海賊殺人などが含まれる。

外勤の医者が死刑確定者の健康状態についての診断を多く下す。もし精神異常を患っている場合、刑の執行は中止される。国は適切な措置を 取っていることを確認した。死刑に関して賛否両論からなる研究グループの会議が10回開催された。その後、このグループの任期は終了した。この研究グルー プの結論は現段階で最終判断を下すのは適切ではないとのことだった。

レズビアン、ゲイ、両性愛者、そして性同一性障害者の権利に関して、政府はNGOと話し合いを進め、性同一性障害を理由としての差別が見 られた場合には、即座に調査が開始される、と説明した。精神病院では入院患者に対して特別の治療を提供している。青年患者に対しては、より詳細できめ細か い治療が施されている。2008年、正式に性転換を求める際、希望者には幼少の子供がいてはならないという規則は改正された。勾留は厳格な所定の条件の下 で実施されており、23日間の勾留期間が長いとは見なしていない。積極的な証拠の全面開示手続きは日本の刑事事件では行なわれていない。取調べの際の録 画・録音は裁判員制度に基づく裁判では採用されており、今後の司法の議論を経て全面的な採用に移行する予定だ。証人尋問も同様に可視化している。すべての 事件の可視化は財政的にも人員的にも懸念の材料である。取調べの最中に違反が認められた場合は直ちに取り調べは中止される。取調べ中の被疑者への手錠は避 けなければならない。

外国人に対する国民年金に関して、受給者は特定の期間、特に1961年から1981年の間、国民年金制度に加入していたことが必要であ る。35年以上働いていた人は従って年金制度に組み込まれる。日本政府は国籍の申告を求めなかったので、年金受給者の国籍に関するデータを持ち合わせてい ない。妊娠や出産が多くの女性が退職する理由のひとつになっている。しかし、法律はこのような女性に対する雇用者による不利益な取り扱いを禁じている。も し会社が法律を守らなかった場合には、社会的な制裁として企業名が公表される。能力や技術を有しながら管理職になっている女性は極めて少ない。精神病治療 の質問に答えて、代表団は、もし入院患者が退院を望んだとき、精神病院の責任者はその患者の要望に答えなければならない、と述べた。精神病患者を入院させ るには厳しい手続きがある。自治体による自宅形式の治療もまた症状によっては入院に代わる選択肢である。障害者への虐待防止に関する法律が施行されてい る。選挙への立候補や会社における女性の数の増加が見られる。首相自身が会社の取締役会における女性人数の増加を民間会社に語っている。日本の女性支援策 がより積極的な女性参加のための指針を含んでいる。

DV(家庭内暴力)に関して、相談窓口が配偶者暴力相談センターや女性相談所に設置されていると、代表団は述べた。相談を受けてからの防止命令や次の対策を発するまでの平均期間は10日以内である。

 委員からの質問 Questions by Experts

委員は、エホバの証人などの宗教に属する信者が家族による拉致、監禁、そして「改宗離脱」について尋ねた。締約国はこの問題に関してどのように対 応するか。表現の自由の規制は、規約19条の3で定められている規定を超えてはならないことを、締約国はどのようにして確保しているか。機密を識別する基 準が明確でなく、特に機密とされた情報の漏洩に対して重い処罰の実施を含んでいる。この関係法を守らなかった人への起訴が必要に応じて行なわれただけだっ た、と確認できる安全策は何か?委員によって少数民族問題が取り上げられ、沖縄の人々を認めるよう日本政府の間違いを問うた。民族的少数グループの特別の 生活様式を保護するための特段の積極的な措置は何か?別の委員は、親子関係など簡単に証明できるDNA科学技術の時代に生きているのもかかわらず、離婚し た女性が6ヶ月以内に再婚できない理由について、代表団の見解が極めて貧弱であることを強調した。委員は日本の法律がノン・ルフールマン原則を禁じている のでは、と理解した。しかし、難民の申請を受ける法的手続きがない。難民申請を求める者に対する申請手順の欠陥が同時に生じており、裁判手続きが単なる選 択肢のひとつになっているようだ。難民申請者の保護を増やし、彼らに対する危険が引き起こる以前に、出国を延長させる実効性のある新しい法が存在するか。 強制退去が決まった者に対する虐待を防止するために、どのような方策が取られたか。多くの報告が第2次世界大戦における戦争犯罪や人道に反する罪に対して 日本が責任を取っていない、と批判している。日本は現在の問題として「慰安婦」問題を持ち出すことは適切ではないと考えているが、しかし、日本は被害者に 対して十分で有効な救済を行なうべき措置に関しては語らなかった。委員は、今こそ「慰安婦」という婉曲な言い回しを「強制された性奴隷」と置き換える時だ と言った。この被害者に対して日本ではどのような救済が可能であるか、そして日本の裁判所に対して何件の訴訟が行なわれたか、そして、その結果は?委員は 国籍法の改正を述べたが、婚外子の戸籍については未だに問題があると指摘した。どのような障壁がこの問題の解決のために存在し、そして妨げているのか?移 住労働者の子供たちに関してはどうか?他の委員は自由権規約の下における、すべての権利の自動実行化を促進する計画があるか尋ねた。第一選択議定書の承認 は自由権規約をより一層なものにし、 国内での人権擁護を高めるものであるが、その実現のための時間的枠組みはどのようなものか?国内人権機関の設立にど のような障壁が存在するのか?どのような人身売買の定義が「2009年の行動計画」に基づいているのか?委員は外国人技術研修生の死亡数の多さに驚きを表 明した。このことは市民社会や国連の人権委員から厳しく批判されている。締約国は現行の計画を雇用計画に変更し、移住労働者の権利を更に擁護することを 計っているか?

別の委員は締約国がセクハラを禁止する法律の制定に反対する理由を尋ねた。

締約国は扇動の高まるヘイト・スピーチを抑制することを行なっているか?

警察署に任意の取調べで出向く人や代用監獄に収容されている人が、取調べの開始からを含め、速やかに弁護人との接見が許されているか?締 約国はどうして性行為の最低合意年齢に関する措置を早急に取らないのか、委員は質問した。死刑制度の問題に戻り、委員は、国家反逆罪を含む19の犯罪に対 して死刑が日本で維持されているが、その刑事政策の基準について尋ねた。フクシマ原発事故の継続問題が他の委員から取り上げられた。原発事故での死亡原因 は何であったか?癌は含まれていたか?避難した人たちが汚染地域に帰還させられていないか?

 代表団による回答 Response by the Delegation

特定秘密保護法に関して、すべての市民は公式に行政資料の開示を要求できる。言論および表現の自由の権利は侵害されていないが、いくつかの条件の 下で、特別の秘密を有する情報については国家の安全を理由に保持されることになる。この法律は他の国々のものと同質である。ノン・ルフールマン原則は日本 の政策に組み入れられている、と代表団は説明した。難民の生命や健康が脅かされる場合は国外退去されることはない。継続的に実地訓練が強制退去に関するこ とを含め、入管職員に定められている。小委員会が難民認定のために設置されている。技能研修制度は知識や技術を発展途上国に伝えるために利用されていた。 もし人権あるいは働く権利の侵害があるとすれば、厚労省は警告書を出し、当該企業に対して研修生の受け入れを停止だろう。様々な報告に基づき、この制度の 更なる改正が図られるであろう。アイヌ民族に関して、国有地がアイヌの文化と生活様式を伝えるのに必要な土地として提供され確保されていた。アイヌ民族は 彼ら独自の文化と言語を有すると認めらており、それらの権利は否定されていない。このように政府による承認を享受している民族は他にない。アイヌの言語は ユネスコが絶滅の危機に瀕していると認定した言語のひとつである。フクシマ原発事故に関して、放射能の危険は正確そして迅速に住人に伝達されている。選択 第一議定書の承認は真剣に検討されているが、現在、それ以上の進展はない。地方公務員は外国籍の人たちの人権について研修している。外国籍の人たち向けの 専用ページがインターネット上の外務省ホームページに掲載されている。ヘイト・スピーチの制限に際しては、表現の自由を侵害することのないよう慎重なバラ ンスが必要だ。国内人権機関の設立に関する質問に答えて、多くの賛成・反対の意見が議論されている。先の国会の解散により、この機関の設立法案は廃案と なった。婚外子の人権は尊重されている、と代表団は繰り返し述べる。離婚した女性が再婚できるには最低6ヶ月が必要とする期間は世論に沿っている。DNA 鑑定はそれぞれの状況によっては可能ではない。

死刑は最も凶悪な犯罪に対してのみ科されている、と代表団は強調した。勾留された際に、勾留者と弁護人との面会を制限することはない。面 会時間に関して、何ら時間的制限はない。2013年、勾留者と弁護人との面会は60万回あった。しかし、電話の使用は許可されておらず、勾留施設の係官が 勾留者に代わって弁護人に連絡することになる。逮捕直後に被疑者は弁護人を指名できる。調査は家族による宗教的根拠に基づいて強制的に被害者とされた事例 の報告によって行なわれた。日本の多くの裁判所は自由権規約の様々な条項や自由権規約委員会の勧告を考慮している、と代表団は説明した。

多くの各省庁が一体となって人身売買の撲滅のために積極的に取り組んでいる。パレルモ条約はまだ国会で批准されていない。約356名の女 性がこれまでに一時的な保護を受けている。1965年、日韓基本条約は両国間の財産権や補償について取り扱い、これらの問題は解決済みである。「性奴隷」 という言葉は適切ではない。1993年、この問題に関して日本政府は「慰安婦」の使用に対する強制性を一部認めた。河野談話が再考されることはない。

体罰は学校教育基本法で厳格に規制されており、体罰を行なった人に対しては懲戒処分が適用される。体罰行為を報告できるホットラインが子 供達のために用意されている。子供指導センターが同時に設置されている。家庭内での子供の虐待も同じく厳格に禁止されている。技能研修生は労働基準法に 従って保護されている。場合によっては、司法処分が必要とされる。

職場におけるセクハラを罰する国内議論がまだ進展していない、と代表団は説明した。

 委員からの質問 Questions by Experts

委員は国による授業料無償化が朝鮮人学校に適用されているか尋ねた。体罰について、委員は、日本の大人たちの58パーセントが必要と思っており、65パーセントが子供に対して体罰を行なったことを認めている、との調査を示した。

委員は1926年の奴隷条約を引用した。そこには性奴隷を含む奴隷の最も包括的な定義を有している。別の委員は国家の秘密に関する新たな法律が今までのところ、どのような変化をもたらしたか尋ねた。

閉会の辞 Concluding Remarks

山中修外務省人権人道課長は、日本は奴隷条約を慎重に検討し、慰安婦は奴隷問題として考えていないと述べた。課長は建設的な対話に対してすべての 委員に感謝の意を述べた。人権の擁護と促進にはすべての国にとって長い経過がある。日本は提起された質問に対して誠意を持って回答した。日本政府はこの点 において努力を継続し、これからも国際社会と協力してゆく立場だ。

ナイジェル・ロドリー委員長は指摘すべき重要な問題が二つあると述べた。ひとつは審査手続きの繰り返しである。つまり締約国(日本)は毎 回、委員会に臨み、委員会から勧告を受けるが、それを実施しようとは見えない事である。これは少なくとも、豊かな物質の最良の利用ではない。人権を尊重す ることは、特に日本のような先進国において、十分な物質によって左右される問題であってはならない。一例として、「ダイヨウカンゴク」制度である。委員会 が入手できるすべての情報では、代用監獄が家族や弁護人にとって便利であるからとは思えない。代用監獄が勾留者から自白を引き出すために設置されていると いう唯一の証である。これは規約に甚だしく相容れないものである。代表団はこの問題に関して極めて厳しい総括所見が出ることを予測すべきである。その他、 繰り返される主要な問題は慰安婦問題である。すなわち、委員会は、性奴隷として強制された女性と、自らの自由意思に反して利用された女性を区別するという ことを理解できなかった。この問題を最終的に明らかにするには独立した国際的調査が必要となるだろう。委員会は、活発で開かれた市民社会を有している日本 は全般的に人権を尊重している国である、と強く理解している。だからと言って、人権を侵害している重大な問題が存在しないという事ではない。次回の日本報 告の審査において、同じ問題を再び検討する必要のないことを期待したい。

これはメディア用の情報であって、公式記録ではない。

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