国際人権活動日本委員会

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「声明」自民党大会における現職自衛官の制服着用での君が代斉唱に強く抗議する

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2026 年 4 月 24 日
国際人権活動日本委員会
議長 新倉 修

 本年4月12日、自民党の党大会で現職の自衛官が制服(儀仗服)を着用して国歌(君が代)を斉唱した。司会の紹介でも自衛官だとされた。この行為は、自民党と自衛隊との「親密な関係」を示すことになった。自衛官の中立性を疑わせる暴挙である。また自衛官として心得るべき「公私の区別」や「公務の信用に影響を与える事への配慮」(自衛隊員倫理規程)に欠けた行動と言わざるをえない。

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 陸上自衛隊の最高責任者である陸上幕僚長は、この問題について4月14日の記者会見で、「事前に報告を受けていたが、私人としての行動だとして法令に反しない」と強弁した。しかし、現職の自衛官が、たとえ勤務外であっても、自民党の党大会に花を添えるという政治的な目的をもって、制服や階級章(国の資材)などを利用して、自衛官であることを強くアピールしたことに違いはない。これは、自衛隊法等で禁止する自衛官の政治的行為に当たり、違法であった疑いがある。事前に相談を受けて、止めなかった上官の責任は重い。

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 他方、学校現場では、入学式や卒業式などで、校長が職務命令を下して「日の丸を掲げ」「君が代の斉唱」の式典が挙行されている。拒否した教員には執拗な懲戒処分が課されることがある。また、起立しない生徒を無理矢理起立させるなども行われている。ところが、与党の党大会で自衛官が「君が代」を歌ったにもかかわらず、処分されていない。自衛隊法で禁止する「政治的行為」ではないからだという。教育現場では、抵抗する自由も内心の自由も否定されているのに、与党の政治集会に同調する行動は、政治的中立性をかなぐり捨てても、かまわないという扱いがされている。

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 このような偏頗な取り扱いが横行する先には、自衛隊を軍隊として認めて憲法に書き込み、外国人を排斥し、国民を打って一丸とする「新しい戦前」の再現につながる。

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 国際人権の擁護と促進を求める私たちは、今回の自衛官による自民党大会における制服着用での国歌斉唱の問題が決して「蟻の一穴」のような小さな問題ではなく、安保三文書の改定、武器輸出解禁、非核三原則の改変ないし廃棄、敵基地攻撃能力を含めたミサイル防衛網の整備、自衛官募集への地方自治体の協力要請の強化、辺野古米軍基地の建設、日米安保条約に基づく日米地位協定の見直し拒否、核兵器禁止条約の批准拒絶など、一連の軍国化の推進に連なる事態であることを憂慮し、今回の事態に強く抗議するとともに、世界すべての国民の平和のうちに生きる権利を謳った日本国憲法の遵守を強く求めるものである。

国際人権入門講座 第13回 職場のセクハラ・パワハラと国際人権法

いまも頻発する職場でのセクハラやパワハラ。労働争議としてたたかわれてきたケースもあるものの、深刻な人権侵害なのに、残念ながら「泣き寝入り」を強いられているケースも少なくないのではないでしょうか。

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ここ数年の間に、テレビ局での「セクハラ」「パワハラ」というだけでは済まされない人権侵害の事実が明らかになり、社会に大きな衝撃を与えています。テレビ局に限らず、セクハラやパワハラは企業の「コンプライアンス」という角度から論じられがちですが、それでよいのでしょうか。今回の国際人権入門講座では、こうした問題を国際人権法の光に照らして考えてみたいと思います。パワハラやセクハラに対して、国際人権法をどのよう活用できるのか、一緒に考えてみませんか。ご参加をお待ちしています。

  • 講 演:小野山 静さん(弁護士、日本労働弁護団事務局次長)
  • 日 時:4月13日(月)18:30~20:30
  • 会 場:青山学院大学青
  • 資料代:500円

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国際人権入門講座 第12回

□今回のテーマは「国際人権法から見た戦争と平和」です。戦後80年を迎えましたが、世界では戦争が絶えません。ロシアのウクライナ侵略、ガザに対するイスラエルのジェノサイド攻撃、ミャンマーの内戦など。そしてトランプ政権の軍拡など、世界は軍事力に頼る時代に逆行しているかのようです。

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□このような状況を国際人権法の観点からどう見るのか、国際人権法は何ができるのか、そして私たちはそれをどう活用できるのか、シン・ヘボン教授に講演していただきます。皆さまのご参加をお待ちしています。

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  • 日時:10月29日(水)18:00~20:00
  • 会場:青山学院大学・総研ビル8階 第10会議室
  • テーマ:「国際人権法から見た戦争と平和」
  • 講師:申惠丰(シン・ヘボン)さん(青山学院大学法学部教授)
  • 資料代:500円

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声明「死刑執行に抗議する」



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※英訳版が更新されました。
English translation updated.(8.13)

死刑執行に抗議する

本年6月27日、東京拘置所で白石隆浩氏の死刑が執行された。鈴木馨祐法務大臣は、通常国会の会期終了後の 23 日に、死刑執行命令書に署名したことを明らかにした。国会での審議(国政調査)を避けるようなタイミングで執行されたことになる。また2年11カ月前に秋葉原事件の加藤智大氏が死刑執行されたことから、執行のない状態が 3 年以上続かないように意図したと見られる可能性もある。しかもこの間、各界の有識者によって構成された「日本の死刑制度を考える懇話会」(座長・井田良中央大学教授=元法務省法制審議会会長)が、現行の死刑制度の問題点を指摘し、国会・内閣に、死刑制度のあり方を検討する公的な機関の設置を提案していたにもかかわらず、完全に無視された。

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日本国憲法は、死刑確定者であっても、「すべての基本的人権の享有を妨げられない」(11 条)、「個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の利益に反しない限り、立法その他の国政上で、最大の尊重を必要とする」と定めている(13条)。ところが、執行の実態は旧態依然で、執行の当日告知によって家族との最後の交流も絶たれ、執行方法の妥当性にも疑いがあるにもかかわらず、何の反省も説明もない。

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死刑事件の手続きも、通常の犯罪に対する刑事手続きと区別はなく、デイビット・ジョンソン氏の『アメリカ人の見た日本の死刑』(岩波新書・2019年)が指摘するような死刑冤罪を防ぐためにアメリカで取られている厳重かつ丁寧な刑事手続、すなわち日本の憲法 31 条の「適正手続(デュープロセス)」をさらに手厚く保障する仕組み(スーパー・デュープロセス)を配慮する兆しすら見られない。

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加えて、死刑執行命令書には、法務大臣・法務副大臣のほか、事務方の責任者として事務次官、官房長、刑事局・矯正局・保護局の長などが署名することになっている。他方、その命令書のあて先は、拘置所の存在する高等検察庁の検事長とされている。6月26日に、発令日未定のまま、事務次官は東京高検検事長に就任し、その跡を刑事局長が就任するという人事異動が新聞に発表された。その後、7 月18 日に異動が発令され、異動前の先任者に執行命令が下され、執行後に異動が完了するという流れが明らかになった。このような人事の流れは、一見して不明瞭な印象を与える。 法務省は、世界 140 カ国以上で執行されていない制度を、わが国独自のメリットがあると言うなら、きちんとした説明責任を国会開会中に尽くすべきである。

2025年7月22日

国際人権活動日本委員会

議長代行・新倉修

事務局長・松田順一

ニュース第145号

  • 「人類全体の黄金期」をめざして……………………議長代行 新倉 修
  • 第28回総会報告 ………………………………………事務局長 松田 順一
  • 世界人権デー 法務省・文部科学省要請行動…………事務局長 松田 順一
  • 【報告】第10回入門講座「国内人権機関の設置について」………竹内 修

▶PDF No.145(2025年4月25日)