「声明」自民党大会における現職自衛官の制服着用での君が代斉唱に強く抗議する
本年4月12日、自民党の党大会で現職の自衛官が制服(儀仗服)を着用して国歌(君が代)を斉唱した。司会の紹介でも自衛官だとされた。この行為は、自民党と自衛隊との「親密な関係」を示すことになった。自衛官の中立性を疑わせる暴挙である。また自衛官として心得るべき「公私の区別」や「公務の信用に影響を与える事への配慮」(自衛隊員倫理規程)に欠けた行動と言わざるをえない。
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陸上自衛隊の最高責任者である陸上幕僚長は、この問題について4月14日の記者会見で、「事前に報告を受けていたが、私人としての行動だとして法令に反しない」と強弁した。しかし、現職の自衛官が、たとえ勤務外であっても、自民党の党大会に花を添えるという政治的な目的をもって、制服や階級章(国の資材)などを利用して、自衛官であることを強くアピールしたことに違いはない。これは、自衛隊法等で禁止する自衛官の政治的行為に当たり、違法であった疑いがある。事前に相談を受けて、止めなかった上官の責任は重い。
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他方、学校現場では、入学式や卒業式などで、校長が職務命令を下して「日の丸を掲げ」「君が代の斉唱」の式典が挙行されている。拒否した教員には執拗な懲戒処分が課されることがある。また、起立しない生徒を無理矢理起立させるなども行われている。ところが、与党の党大会で自衛官が「君が代」を歌ったにもかかわらず、処分されていない。自衛隊法で禁止する「政治的行為」ではないからだという。教育現場では、抵抗する自由も内心の自由も否定されているのに、与党の政治集会に同調する行動は、政治的中立性をかなぐり捨てても、かまわないという扱いがされている。
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このような偏頗な取り扱いが横行する先には、自衛隊を軍隊として認めて憲法に書き込み、外国人を排斥し、国民を打って一丸とする「新しい戦前」の再現につながる。
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国際人権の擁護と促進を求める私たちは、今回の自衛官による自民党大会における制服着用での国歌斉唱の問題が決して「蟻の一穴」のような小さな問題ではなく、安保三文書の改定、武器輸出解禁、非核三原則の改変ないし廃棄、敵基地攻撃能力を含めたミサイル防衛網の整備、自衛官募集への地方自治体の協力要請の強化、辺野古米軍基地の建設、日米安保条約に基づく日米地位協定の見直し拒否、核兵器禁止条約の批准拒絶など、一連の軍国化の推進に連なる事態であることを憂慮し、今回の事態に強く抗議するとともに、世界すべての国民の平和のうちに生きる権利を謳った日本国憲法の遵守を強く求めるものである。
2026年4月24日 国際人権活動日本委員会
