国際人権活動日本委員会

撮影=鈴木信幸(港北区役所屋上庭園のネジバナ捩花。別名モジズリ綟摺)

doc-p-title自由権規約/第6回日本政府報告に対する最終レポート

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目次

 1.特別アピール

戦前・戦中の「治安維持法犠牲者」、戦後の「レッド・パージ犠牲者」への謝罪・補償を実現させるための特別のお願い

国際人権活動日本委員会(幹事会)

 

自由権規約18条(思想・良心及び宗教の自由)を中心にした戦前・戦中の「治安維持法犠牲者」、戦後の米軍占領下でおこった「レッド・パージ被害者」のグループは、20年以上前から、人権小委員会及び人権規約・条約の審査のたびにレポートを提出し、審査を傍聴し、機会あるごとに発言し、日本政府への勧告を求めてきました。しかし、大変残念なことに、この問題に関しては、総括所見でも触れられず、勧告もいまだ出されたことがありません。

 

被害者は、戦後70年近く、謝罪・補償も全くないまま、筆舌に尽くしがたい人生をおくってきました。いま、80~90歳の高齢に達し、日々無念の思いを抱きながら亡くなる方も多くなっています。「生きているうちに謝罪・補償を」の思いはますます強く、もう待てないのです。

 

いま、日本政府が進もうとしている戦争への道は、再びの「治安維持法」「レッド・パージ」への道であり、許すわけにはいきません。「慰安婦」被害者への謝罪や補償を拒否する姿勢など、第2次世界大戦当時の日本に回帰しようとする動きが現実の問題となっています。現在も続いて いる思想・信条の自由への弾圧を許さず、平和と民主主義、人権の向上のためにも、「慰安婦」問題と同様、治安維持法犠牲者、レッド・パージ被害者への日本 政府の明確な対応が求められています。

自由権規約委員会第6回審査において、「治安維持法」・「レッド・パージ」犠牲者からのレポートに対し、総括所見・勧告を要請します。

 

今回の自由権規約第6回日本政府報告審査に際して、NGOから多くのレポートが提出されていますが、今までと同様、日本の人権水準を大きく前進、私達を勇気づけてくれる総括所見(最終見解・勧告)を出していただくようお願いいたします。

2.治安維持法犠牲者に対する国家賠償

一刻も早い解決が求められている

1925年に立法化された世紀の悪法「治安維持法」によって、他国への侵略と植民地支配に反対し、抵抗した多くの人々が特高警察などの官吏によって暴虐と凌辱を加えられました。現在小林多喜二など95名以上が虐殺されたことが判明しています。獄死者や逮捕投獄、拘束され拷問された被害者は数十万人に及びました。治安維持法は日本国内 だけでなく、植民地朝鮮ではさらに激しい猛威を振るいました。国家が国策である戦争政策を進めるために行った人権侵害・人道に反する犯罪行為です。自由権 規約第7条、第18条に違反したことは明白です。犠牲を受けた生存者は減少し、そのほとんどが100歳前後となり、一刻も早い謝罪と賠償を待ち望んでいま す。しかし、戦前の事であり、悪法とは言え、当時の法律に準拠したことだとして、国家として謝罪すべきこととは考えないとするのが日本政府の基本的考えで す。

暗黒政治の復活を許さないために

治安維持法犠牲者への謝罪と賠償が行わないどころか、現代の治安維持法とも言われる秘密保護法を強行成立させ、治安維持法体制を復活さ せ、戦後の日本のスタ-トとなった平和憲法9条を投げ捨て戦争する国づくりが進められています。侵略戦争で甚大な被害、犠牲を強いた中国、朝鮮の人々に対 する謝罪として行われた「河野談話」の検証、見直しが公然と叫ばれています。暗黒政治のもとでの侵略戦争を二度と繰り返さないという戦後政治の大原則を 「時の政権」が葬り去ろうとしているのです。こうした動きは従軍慰安婦や、治安維持法犠牲者などへの戦後補償が行われないことと根は同じものです。自由権 規約7条や18条の規定に照らしても、 治安維持法犠牲者は重大な国家による人権侵害の被害者です。戦前の事とはいえ、戦争犯罪と人道に反する罪には時効がないという国際法に照らしてみても、現 在なおその責任は問われています。治安維持法犠牲者への国家賠償を実現して、その責任を明確にすることが、戦争する国づくりをストップさせることに繋がり ます。

国際人権・人道法の見地からの戦後処理を

前回の規約委員会の総括所見に引き続き、リスト・オフ・イシュ-でも、「従軍慰安婦」制度の法的責任と犠牲者救済に重大な関心を示され ていることに共鳴するものです。人権・人道に反する罪として、清算されないもう一つの問題が治安維持法の犠牲者たちです。日本政府は自由権規約の批准した 1979年以前のことについては答えることは適切ではないとしながら、戦前の人権侵害である「従軍慰安婦」については2008年94回会期自由権規約委員 会の審議及び最終見解に応えて「取り組み」を述べています。しかし、「自由権規約批准以前」ということで治安維持法の犠牲者に対する謝罪と賠償を無視続け ることは許されません。犠牲者の多くは、アジア太平洋戦争の以前から他国への侵略と植民地支配に反対し、抵抗して戦った人々であり、ポツダム宣言では「日 本国民の間における民主主義的傾向に対する一切の障害を除去すべし」と規定され、彼らの抵抗の闘いは評価されました。時効不適用条約の早期批准と合わせ、 自由権規約第7条、第18条の遵守という国際人権・人道法の見地からも一刻も早い問題解決が求められています。そもそも国際人権法の起源は、第二次世界大 戦における非人道的な結果に対する深い反省から国際的な合意として実定法化されたものであり、アジア太平洋戦争における人権侵害行為に抵抗したが故に弾圧 された犠牲者に対する人権救済については優先的な配慮をなされてしかるべきだと考えます。委員会として従軍慰安婦と同じように、治安維持法犠牲者は自由権 侵害犠牲者であり、国際人権に反するものであり、一刻も早い謝罪と賠償を日本政府がおこなうよう勧告をしてください。ドイツやアメリカなど世界各国で戦後 補償が次々に実現されてきていますが、戦争犯罪と人道に反する罪を処罰,・清算する原則を国際人権法に基づいて示してくれることを願います。

人権小委員会時代から訴え続けて

治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟は、1995年人権小委員会に通報を提出しました。通報内容は「日本政府は治安維持法が人権侵害の悪 法であったことを認め,西洋諸国と同じように犠牲者に対して謝罪と賠償を行うように勧告してほしい」ということです。1997年には、国連人権小委員会で 同盟代表が直接訴える機会も与えられました。それ以来事あるごとにジュネ-ブ代表派遣、委員会での発言、カウンタ-レポ-トの提出などで訴え続けてきまし た。しかし、これまで人権理事会から治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の日本政府への要求に触れた直接的コメントは出されておりません。治安維持法犠牲者 への謝罪と賠償は会発足以来46年間で国会に積み上げた請願署名は840万筆、393地方議会での意見書採択など国民的な強い要請にもかかわらず、日本政 府は無視をしており、政府報告でも全く触れられていないのが現状です。治安維持法犠牲者への国の謝罪と賠償を実現するカギは、日本における国際人権法の適 用がなされるかどうかだと思います。今回自由権規約政府報告審査のなかで自由権規約委員会から治安維持法犠牲者の問題を国際人権法に照らして、厳格な指摘 がなされることを強く要望するものです。

 

3.「生きている間に」レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償を!

A、論点(問題提起)

レッド・パージは、1949年から50年にかけてアメリカ占領軍の示唆を受けて、日本政府と財界の積極的な加担によって、推定4万人の共産党員と支持者、労働組合活動家を「企業の破壊分子」「公務を阻害する」などの 熔印を押して、解雇し、暴力的に職場から追放した戦後最大の人権侵害、弾圧事件です。この弾圧事件は、被害者の直接的被害にとどまらず、国民生活の向上、 自主的な経済復興、民主主義の確立などを要求する労働運動、民主的運動に大打撃をあたえました。今日、国内で強行された日本航空の違法解雇、IBMのロッ クアウト解雇、非正規労働者の派遣切りなどの問答無用の解雇や橋下徹大阪市長が強行した市職員の「思想調査」など人権侵害が公然と行われている根っ子に は、レッド・パージ問題が未解決のまま残されているからです。

このレッド・パージは、国連自由権規約18条「思想・良心の自由」、第19条「表現の自由」、第22条「結社の自由」、第26条「法律の前の平等」に照らしても明確な違反行為です。

 

B、自由権規約委員会の勧告・懸念

レッド・パージ問題の解決への勧告を求めて、幾度か自由権規約日本政府報告審査にレポートを提出ましたが残念ながら、まだ「勧告・懸念」は示されていません。

裁判所の救済を退けられたレッド・パージ被害者は、日本弁護士連合会および各都県弁護 士会に人権救済の申立を行ってきました。今日、この申立に対して日本弁護士連合会の二度の救済勧告をはじめ横浜、長崎、仙台、京都、長野、東京、群馬、札 幌弁護士会がすべて「レッド・パージは日本国憲法、世界人権宣言が保障する思想・信条を自由、法の下の平等、結社の自由を侵害するもの。いかなる状況にお いても許されるものではない」とし、そして「平和条約発効後、容易に行うことが出来たのに放置したことの責任を重い」と指摘し、当時の首相に救済の勧告をしています。このように国内においては、レッド・パージの不当・無法性は法曹の分野では多数意見になっています。

 

C、日本政府・裁判所の対応

日本政府は、日弁連をはじめとする各都県弁護士会が勧告した「レッド・ パージ被害者が高齢であることから速やかに救済の措置を講ずるべき」とする勧告に応ずる姿勢は全く示していません。この勧告を受け、対応する窓口すら不明 としています。日本の裁判所は、事件当時解雇撤回を求めた訴えを、すでに公布されていた日本国憲法による判断をさけ、「レッド・パージは超憲法的措置」と 退けました。今日においてもこの判断は変わらず、被害者が求めた国家賠償裁判でも最高裁は、同様理由で退けています。

最高裁は、国民の訴えに対し、三権分立の見地から憲法判断をする権限があります。公開 された文書によれば、最高裁はこの立場を放棄したことがレッド・パージ事件、砂川事件で明らかになりました。日本が独立した後にも、当時田中耕太郎最高裁 長官が占領国であったアメリカの意向にそった判決をしていたのです。

 

D、意見

弾圧後60年余経た現在、被害者は全て85歳を超えています。そのために被害者は「生 きている間に要求がかなえられてほしい」との要求実現が強く望まれています。日弁連勧告は、先述したように「平和条約発効後、容易に行うことが出来たのに 放置したことの責任を重い」と指摘しています。しかるに政府は、先の日弁連勧告を全く受け入れていません。その反面、戦争責任を問われ、連合国の要求で実 施した公職追放者については講和条約発効後にすべての追放を解除し、同時に恩給、年金などの権利・資格を回復し、公職への復帰まで行いました。まさに「法 律の前に平等の権利」が放置されているのです。政府は、国連自由権規約並びに日本国憲法を遵守する役割を果たさねばなりません。

 

E、解決のための提言

人権救済に「時の壁」は、ありません。日弁連勧告が指摘しているようにたとえ占領下で あっても「思想・良心の自由」は尊重されなければならず、侵害された人権は回復されなければなりません。被害者は、国民の権利のひとつである請願権を行使 し、毎年レッド・パージ被害者を救済する特別法制定を求める請願を行っています。残念ながら立法府の対応も政府と同様に不誠実な対応に止まっています。政 府は、多くの国民の反対を押し切って「国民の目・耳、口を塞ぎ」戦争への道に引きずり込む秘密保護法を制定しました。レッド・パージ被害者は、戦後最大の 人権侵害の被害者としてこの法律制定に反対し、今廃案を求めています。繰り返しますがレッド・パージ被害者は高齢です。無念の思いを抱き逝去する被害者が 続出しています。まさに時間がありません。解決の道筋は日弁連勧告が示しています。それを可能とするためにも自由権規約委員会の勧告が強く求められていま す。

 

 

4.法執行官に対する規約の徹底について

第2条およびLOIパラ28

(1)政府回答では、裁判官について、次のように述べている。

  1. For judges who assume new duties or posts, lectures are provided on international trends and problems, including those concerning the Covenant, various human rights issues of women, children and foreign nationals and related measures. Through such training, efforts are being made to enhance the understanding and awareness of judges on international human rights issues.

国民救援会が司法行政文書開示制度により開示を受けた文書によれば、裁判官は以下のような講義または講演を受けている(講義等を受けた人数は不明)。

これによると新任のときに一度、10年たって判事補から判事になったときに一度、そして部総括になったときに一度、それぞれ受講するシステムになっている。個々の裁判官によって多少の違いはあっても、およそ20年のうちに2時間の講義を3回受ける程度ということである。

これはまったく、不十分といわざるをえない。

実際、ある程度経験を積んだ裁判官でも自由権規約を理解していないと思われる。例えば、国 公法弾圧事件で、委員会が第5回日本政府報告審査の後に下記のような総括所見(懸念と勧告)を出しているにもかかわらず、国家公務員が政治的なビラを各戸 に配布することを含む政治活動を一律に違法とする法律を自由権規約違反としない判決を出していることを見ても明らかだ。

  1. The Committee is concerned about unreasonable restrictions placed on freedom of expression and on the right to take part in the conduct of public affairs, such as the prohibition of door-to-door canvassing, as well as restrictions on the number and type of written materials that may be distributed during pre-election campaigns, under the Public Offices Election Law. It is also concerned about reports that political activists and public employees have been arrested and indicted under laws on trespassing or under the National Civil Service Law for distributing leaflets with content critical of the Government to private mailboxes (art. 19 and 25).

The State party should repeal any unreasonable restrictions on freedom of expression and on the right to take part in the conduct of public affairs from its legislation to prevent the police, prosecutors and courts from unduly restricting political campaigning and other activities protected under articles 19 and 25 of the Covenant.

(2)政府回答では、検察官について、次のように述べている。

290.                In various types of training for public prosecutors provided depending on their years of service, lectures concerning international treaties relating to human rights, including the Covenant, are provided to disseminate knowledge thereof.

国民救援会が行政文書開示制度により開示を受けた文書によれば、検察官は以下のような講義を受けている。

まず、2012年度 についてみてみると、副検事を含めて2600人を超える検察官がいるところ、国際人権条約について講義を受けた人数は、302人で8分の1以下の人数であ る。しかも、上記の講義をその年に2つ以上受ける者はいないと思われるので、302人の検察官が受ける講義時間数は、1時間程度で、しかも、その半分は刑 事に関する国際協力に当てられていることがわかる。国際人権条約に関しては30分程度の講義を受けるだけであり、しかも講師は専門家ではない法務省の職員 が務めている。

数十年続くと思われ る検察官生活を考えると、新任検事研修、検事一般研修、検事専門研修の全ての講義を受けたとしても、わずか3時間程度の講義(しかも、その半分程度が国際 人権に関するものでしかない)を受けるだけというのでは、刑事手続の開始から終末まで、ほぼ全ての段階に継続的に関与して、重要な役割を果たす検察官とし ては、不十分と言わざるを得ない。

 

(3)政府回答では、(c)警察官について、次のように述べている。

293.                As part of training for police officers who are in charge of duties closely related to human rights such as criminal investigations, Principles of Work Ethics prioritizing respect for human rights have been established and human-rights education has been proactively promoted, while setting up education on work ethics as the centerpiece of police instruction. Police officers newly recruited are provided with education on respect for human rights and on the necessity to give due consideration to victims, mainly female victims, of sexual crimes and domestic violence, etc.

  1. For police officials engaged in criminal investigations, detention duties and duties to support crime victims, etc., instruction is provided to have them acquire knowledge and skills necessary for performing their duties properly with due consideration to the human rights of suspects, detainees and victims.

警察庁総務課情報公 開室に問い合わせたところ、まず、委員会がこれまで何度も出してきた総括所見(懸念と勧告)については、それを受けての措置を何らとっていないとのことで ある。その理由は、「総括所見が出される前から人権に配慮するための措置を講じてきた」というのである。

具体的には、 2008年3月に『人権に配意した警察活動のための手引き』(206頁)、2010年3月に『人権に配意した警察活動のための手引き(追加版)』(82 頁)という部内向けの印刷物3200部印刷し、都道府県の警察等の関係部署に下ろしたというのである。参考までに2013年度の警察職員の定員は29万 3,588人(、平成25年版警察白書)である。その『手引き』がどの程度活用されているということには一切無頓着で全く報告を求めておらず、活用実態を 把握していない。

しかも、この『手引 き』は、人権一般に関する警察官の対応マニュアルとでも言うべきものである。その本文では、人権一般についていくつかの場面(障害者や高齢者、外国人な ど)を設定した上で、「理解と関心を深め」よ、とか、「適切な」対応をせよ、「警察が果たすべき役割を的確に推進」せよと抽象的に説くだけで、現場の警察 官に何をどうすればよいのかわからないのではないかと思われるものである。世界人権宣言や国際人権規約などの国際人権条約の条文が巻末に資料として掲載さ れてはいるだけで、委員会からの総括所見などは一切載っていない。およそ自由権規約、国際人権条約を学ぶことができるものではない。

 

5.第6条およびLOIパラ13(g) 死刑囚の秘密接見について

政府回答(パラ121)では再審開始決定が確定していない死刑確定者と弁護士の面会でも秘密接見が保障されていると述べている。

昨年12月10日、最高裁は「再審請求のための秘密面会は原則認めるべ き」との初めての判断を示した。これを受けて政府は、12月25日付で法務省矯正局長名で全国の刑事収容施設への通達を出し、「特段の事情がない限り、立 会い等をすることは相当でない」と指示した。政府回答はこれをもって「保障されている」と述べているにすぎない。

しかも、実はこの通達には続きがある。「特段の事情がない限り、立会い 等をすることは相当でない」と言いつつ、「死刑確定者が置かれた特殊な状況に鑑み、死刑確定者は、容易に、極めて大きな精神的苦悩や動揺に陥ることがある と考えられることから、特段の事情の有無の判断に当たっては、個別に事情を慎重に検討すること」と、念を押しているのである。

秘密接見を権利として認める立場ではまったくなく、あくまで施設側の裁量の範囲に止めようとする態度であり、また弁護人固有の秘密接見の権利も無視するものであって、厳しい批判はまぬがれない。

ちなみに、秘密接見が保障されていないのは死刑囚に特有の問題ではな い。筋弛緩剤冤罪事件の守大助は無期懲役の刑を受けで千葉刑務所に収容されている。再審請求の準備にあたって、守と弁護士が秘密接見を求めたところ千葉刑 務所は当初、認めない態度を示した。弁護士の抗議で職員の立ち会いは外したものの接見内容を録音していることがわかったため、さらに抗議を重ね、ようやく 秘密接見が保障されるようになった。ただ、この弁護士の接見は月に3回以内に制限されている一般面会の一つに数えられており、その点での制約を受けてい る。弁護人の抗議によって初めて秘密接見が保障された事例は同じ無期懲役刑の東住吉冤罪事件でも同様である。秘密接見の保障は全被収容者に共通する問題で ある。

6.代用監獄の悪用について

第10条およびLOIパラ14

(1)日本政府は、2007年刑事収容施設法施行、2008年「取調べの適正化指針」実 施により代用監獄の悪用はなくなったかのように報告している。これが事実に反することは、すでに昨年のカウンターレポートでも例示したパソコン遠隔操作事 件(2012年)で明らかだが、さらに3件の痴漢冤罪の事例を報告する。

●山科京都駅間痴漢冤罪事件

2011年1月、中学教師の柿木浩和は通勤電車の中で女性のお尻を触ったとして逮捕され、京都府警七条警察署に29日間勾留された。

取調べでは「別件で再逮捕する」などの脅しで自白を強要された。留置場の寝具が薄い「せんべい布団」のため床ずれがおきるなど肉体的苦痛も訴えている。

●三鷹バス痴漢冤罪事件

2011年12月、中学教師の津山正義は三鷹市内を走行中のバスの車内で女子高生のお尻を触ったとして逮捕され28日間、警視庁三鷹警察署に勾留された。

警察では「目撃者がいる」「(痴漢行為が)バスの防犯ビデオに写ってい る」と言われて自白を迫られた。実際には目撃者はまったく存在せず、ビデオには左手でつり革をつかみ、右手で携帯電話を操作していて、痴漢などできない津 山の姿が写っていた。東京地検の検事も「認めないなら警察から出さない」と言って自白を迫った。

●埼京線痴漢冤罪事件

2012年11月、自営業者の石田崇は埼京線の電車内で女子高生の太ももを触ったとして逮捕され28日間、警視庁赤羽警察署に勾留された。

黙秘をする石田に対し、警察では「弁護士と相談の上の黙秘だろうが、弁 護士があなたを一生面倒見てくれるわけではない」などと言って黙秘を解除しようとした。東京地検の検事も「やっていないというのならやっていない証拠を出 して下さい」などと言って供述調書をとろうとした。

(2)痴漢冤罪は日本の市民生活に最も身近な冤罪である。

前提としてChikanについて説明する。

日本の大都市圏では通勤時間に電車やバスなどの交通機関が異常なまでに混雑する。例えば東京都心を走るJR山手線の朝の混雑率は250から270%で、乗客一人当たりに許される面積がわずか0・18㎡となる。(ちなみにJRの家畜輸送列車は豚一頭当たり1平方メートルが確保されており、豚は人間の5・5倍のスペースを与えられている)

このような状況では乗客同士の体が密着することが避けられない。こうした交通事情を背景に日本ではChikanといわれる電車やバスの車内での女性に対するわいせつ行為がはびこって きた。悪質なケースでは下着の中に手をいれて陰部をさわるなど刑法の強制わいせつ罪で処罰されるような行為があるが、多くは着衣の上から女性の体を触るも ので自治体の迷惑防止条例で禁止され処罰されている。

1996年から警察庁が「痴漢・性犯罪撲滅キャンペーン」をはり、痴漢 の摘発を強化した。1994年には271件だった迷惑防止条例での逮捕件数は、2001年には4538件にのぼった。これが代用監獄をはじめとする日本の 刑事司法の欠陥とむすびつき、冤罪が多発する結果をもたらしている。

つまり、混雑した電車やバスの中では、犯人を間違えたり、カバンがあ たったことを痴漢と勘違いするという間違いが起こりうる。しかし、「この人、痴漢です」と被害者から名指しされたサラリーマンは問答無用で、「私人による 現行犯逮捕」としてただちに警察署に勾留される。「被害を受けた女性が君を捕まえたのだから間違いないのだ」と、弁解も聞かれず、一方的に自白を迫る取調 べがされる。日本では23日間の勾留が認められるので否認をすれば長期勾留を覚悟せねばならず、解雇・失職の恐怖にさらされ、略式起訴での罰金刑を泣く泣 く受け入れざるをえない。あくまで否認を続けると起訴され、裁判でも「女性が恥を忍んで訴えでたのだから、よもや間違いはないだろう」との観念から被害者 供述に高い信用性が与えられ、有罪判決が下されるケースが圧倒的である。

こうして痴漢冤罪は大きな社会問題となり、これをテーマとした映画『それでもボクはやってない』が公開されてヒットするなど、市民生活に最も身近な冤罪になっている。

過去15年間に起きた主な痴漢冤罪事件とその勾留期間は次の通りである。

西武池袋線事件                21日

JR総武線快速線事件      28日

JR中央線沖田事件          21日

JR外房線事件                  173日

西武新宿線第一事件        92日

西武新宿線第三事件        106日

西武池袋線第二事件        34日

7.袴田事件再審開始決定と証拠開示の必要性

(1)追加報告の趣旨

逮捕以来48年間という世界でもっとも長い拘禁をうけていた袴田巌が3 月27日、静岡地裁で再審開始決定を受けた。決定は、「犯行時の着衣」とされた衣類など、有罪判決に使われた証拠が捜査機関の捏造であることを認めたうえ で、「拘置をこれ以上継続することは、耐え難いほど正義に反する」「一刻も早く袴田の身柄を解放すべき」として死刑の執行停止と拘置の停止を命じた。再審 無罪判決前の死刑囚の釈放はわが国では初めての画期的なことである。

同時に、代用監獄における自白の強要と捜査機関による証拠の捏造、証拠隠しが、無実の人間を半世紀近くの間、死刑の恐怖とともに拘禁し続けるという重大な事態を招いたことは、日本の刑事司法の欠陥を象徴する問題として社会に衝撃を与えている。

そこで、あらためて袴田事件をはじめとする再審事件の事情を紹介しながら、とくに証拠開示制度の不備が「公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利」を侵害している問題について追加報告をする。

(2)第5回審査後の再審開始決定で判明した証拠隠し

2008年の第5回日本審査以降、2011年に布川事件の桜井昌司と杉山卓男(無期懲役)、12年に東電OL殺人事件のゴビンダ・プラサド・マイナリ(無期懲役)の再審無罪判決が連続して確定した。

布川事件では、事件現場で桜井らとは別の人物を見たという目撃供述、 「扼殺」の自白とは矛盾する「絞殺」の死体検案書、現場に落ちていた第三者の毛髪、桜井のアリバイを裏付ける捜査記録などが30年以上も隠されていたこと が明らかとなり、桜井は2012年、国家賠償請求訴訟を提起した。

同様に、東電OL事件では、被害者の乳房などに付着していた唾液の血液型がO型であった事実が15年にわたって隠された。捜査機関はO型の唾液の血液型を事件から2週間後の鑑定で把握しながら、2か月後にB型のマイナリを逮捕した。

袴田事件でも袴田のアリバイを裏付ける関係者の供述や、「犯行時の着衣」とされたズボンを袴田が履けないことを裏付ける製造元の従業員の供述調書などが40年以上、隠されていたことが明らかになっている。

しかし、依然として検察庁は現在係争中の事件の証拠開示には消極的で、全面開示の制度化には抵抗している。「公正な審理」の実現のためには、証拠の事前全面開示の制度化が不可欠である。

(3)検察上訴による再審開始決定の取り消し、再審・救済の長期遅延

昨年提出したカウンターレポートでは名張毒ぶどう酒事件の奥西勝死刑囚(87歳)は、一審無罪判決(1964年)、再審開始決定(2005年)、再審開始決定の取り消し決定の破棄差戻し決定(2010年)と、事実上3度も無罪と認定されていながら、無罪判決から50年経過した現在も、医療刑務所に収容され、二度の危篤を乗り越えて酸素吸入と点滴で生命を維持しながら第8次請求を訴えている(2013年7月20日提出のパラレルレポート10頁 ⅡTreatment of Inmates Sentenced to Death D 2 Mr.Masaru Okunishi in the Nabari poison wine case参照)。

前述の袴田巌の場合も、検察が即時抗告したため、再審開始決定が取り消され、再び拘置、死刑執行とされる可能性があり予断がゆるせない。

このようにひとたび、無罪判決、または再審開始決定を受けても検察の上訴によっていつまでも救済されない例を以下に報告する。

  • 日産サニー事件・斎藤義照(無期懲役)

1992年再審開始決定→1995年取り消し決定

  • 大崎事件・原口アヤ子(懲役10年)

2002年再審開始決定→2004年取り消し決定

  • 東住吉事件・青木恵子、朴龍晧(たつひろ)(無期懲役)

2012年再審開始決定→検察が即時抗告し審理中

  • 福井事件・前川彰司(懲役7年/一審無罪、二審で逆転有罪)

2011年再審開始決定→2013年取り消し決定

  • 袴田事件・袴田巌(死刑)

2014年再審開始決定→検察が即時抗告し審理中

8.公共の福祉による規制について

第19条およびLOIパラ17

LOIパ ラ17は、公共の福祉の問題との関連で国歌斉唱を拒否した教員に対する制裁の問題についてコメントを求めている。公共の福祉というあいまいな人権制約概念 は国歌斉唱拒否の自由という問題以外にも、言論表現の自由、選挙政治活動の自由という分野において、きわめて広範な人権制限を許す根拠に使われている。こ れらの自由に対する非合理的な制約については、第5回審査の総括所見パラグラフ26でも取り上げられているが、その後も依然として選挙中の言論活動を理由 とする検挙、有罪判決が続いており、明らかに規約19条、25条に違反している。

政府報告はこうした実態を反映していないので、以下の報告を行う。

 

(1)公共の福祉を理由とした有罪判決

[要旨] 第6回政府報告は「公共の福祉の概念は、判例等により具体化 されており、公の秩序の概念とほぼ同様で、規約で許容される制約を超えることはあり得ない」と述べるが、裁判所は公共の福祉を理由に言論表現活動に有罪判 決を行い、規約第19条3項(b)による制約の許容範囲を越えた規制が続いている。

第5回日本審査後の裁判例として井筒たかお市会議員に対する有罪判決が あるので以下に引用する。井筒氏は2008年の衆議院議員選挙で、政権交代をめざして野党を支援する立場を表明する活動報告書を支持者に郵送したことを、 公職選挙法違反として逮捕、起訴され、控訴審で公民権停止3年・罰金50万円が確定した(2013年7月20日提出のパラレルレポート31頁 1、Ⅷ Pre-election campaigning and political activities、D、case 1参照)。

■公選法「井筒事件」一審神戸地裁判決(2011年7月25日)

憲法21 条は言論出版等の自由を無制限に保障しているものではなく、公共の福祉のため必要がある場合には、…合理的制限がおのずから存在すると解される。…規約 19条も「国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護」のために必要な場合、これに一定の制限を課すことができる旨規定しており、…公職選挙法 142条が定める規制は規約19条の規定上許容される必要かつ合理的な制限であると解される。

第6回政府報告は、「公共の福祉とは、公の秩序と同じ意味である」とす るが、上記判決は「公の秩序とは、公共の福祉と同じ意味である」という論理である。すなわち判決は、公共の福祉を規約のように厳格に解釈するのではなく、 逆に公の秩序の基準を公共の福祉にあわせてゆるく解釈し、表現活動を規制している。

(2)政治活動を原則禁止する公職選挙法の規定

[要旨] 第6回政府報告は選挙期間中の政治活動について、「選挙運動にわたらない限り、基本的に自由である」と述べるが、公選法の規定は選挙期間中の政治活動を原則禁止としている。

公選法は、選挙期間中の政治活動のほとんどを禁止しており、事実上、政治活動の原則禁止、限定的に解除という構造になっている。下記に引用するのは参議院選挙中の政治活動の制限に関する規定である。

■公選法第201条の6

政 党その他の政治活動を行う団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催、ポスターの掲示、立札及び看板の類の掲示並びにビラの頒布並び に宣伝告知のための自動車及び拡声機の使用については、参議院議員の通常選挙の期日の公示の日から選挙の当日までの間(選挙期間中)に限り、これをするこ とができない。

ただし、参議院名簿届出政党…が、次の各号に掲げる政治活動につき、…当該各号の規定によりする場合は、この限りでない。

このように前段で表現手段の大部分を禁じた上で、但し書きで限定的に解 除するという原理が公選法全体に貫かれている。例えば第141条の3は、「(要旨)選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすること ができない」という自己矛盾した規定に続き、但し書きで候補者名の連呼などを限定的に許可するという奇妙な規定すら存在する。

 

(3)現在継続中の事件も含めた最近の事例について

[要旨] 公共の福祉による政治活動の制限は、個別事件だけの問題ではなく広範な国民の人権を長期間、継続的に侵害している。

前回レポートでは、2008年から10年にかけて発生した文書弾圧事例 を4件報告した。特に高校卒業生に対する元教諭名義の手紙を公選法違反としている養父(やぶ)事件では、多数の卒業生への聞き込み、3人の元教諭に対する 尾行、張り込み、50回以上の呼び出し、家宅捜索が行われている。投票から1年6ヶ月経過した今年4月現在も兵庫県警は「時効(3年)まで捜査するかもし れない」と、関係者に逮捕の恐怖を与え続けている。文書事案でこれほど長期にわたる捜査は異例である。

警察庁の統計によると1946年以降の国政選挙、一斉地方選挙において 「文書図画に関する制限違反」で検挙された人数は2013年度までに約5万人に達する。国民救援会はこのうち150件以上の公選法裁判を支援してきた。起 訴に至らなくとも正当な文書活動や戸別訪問活動を理由に逮捕・家宅捜索・強制的な連行・聞き込みなどを受けたケースは無数である。こうした捜査は、当事者 だけでなく、無数の市民に選挙や政治に関与することへの恐怖を与え、萎縮させる効果を持ってきた。

国連人権センターが発行しているガイドブック「Human Rights and Elections」のパラグラフ39は、「すべての人々が自由に表現できると感じ、事実として、恐れなしにあらゆる情報を交換できなければ、真に人民の意志を表わした選挙とはいえない」と述べる

39. In short, unless all persons feel free to express themselves and are, in fact, able to disseminate, without fear, all legitimate political information into the national dialogue, there can be no guarantee that elections are a true manifestation of the will of the people.

が、この基準からすれば日本の選挙は、「真に人民の意志を表した選挙とはいえない」と言える。

以上のように、①公選法による政治活動の包括的な規制が存在し、②国際 人権法を曲解した判決がまかり通っており、③警察、検察の捜査により戦後70年近くの長期にわたって無数の市民の政治活動の権利の侵害が系統的・組織的に 行われてきているのが日本の実態である。上記養父事件のように現在、進行中の事案もあることは重大である。

(4)意見

委員会に以下のことを要望する。

公共の福祉の定義の立法化を待たず、公選法の制限規定を根拠とした非合理的な言論活動への干渉や捜査が規約に違反することを明確にし、そのような規約違反の干渉や捜査を中止し、ただちに条約を履行するよう、日本政府に勧告すること。

9.特定秘密保護法について

1、 第19条 保護法について

2013年12月6日、安倍政権は国家の安全保障に関する防衛・外交・警察情報を行政機関の長が秘密指定し、これを漏らしたり、手に入れると最高で懲役10年となる「特定秘密保護に関する法律を国会で成立させた。

日本は世界に類例のないと云われる戦争放棄を定めた平和憲法を戦後一貫して守り続けてきたが、安倍政権は戦争する国づくりを目指し、戦争立法の整備と拡充をひたすら続けている。

例えば、政権与党の自民党は現行憲法を根本的に変更する改憲草案を作り、ここで国防軍の設置と秘密保護法制の制定を求め、同党の国家安全保障基本法案では集団的自衛権の解禁と秘密保護法制の制定を求めていた。

特定秘密保護法の中身は、随所で国家の安全を国民の安全に優先させ、国民を支配・監視する民主主義とは無縁の法体系となっている。

このため、法案成立までは国民世論の過半数が「何が秘密か?それは秘密 である」との本質を有する法案の成立に危惧を示し、急激に大規模な反対運動が盛り上がり、政府与党を追い詰めた。法律成立後も国民の人権を著しく脅かすこ の特定秘密保護法廃止を求める運動は収まるところがない。秘密法のある社会を拒否する新たな闘いが始まっている。

 

2、秘密保護法の構造と問題点

秘密保護法は、

  • ① 行政機関が軍事、外交、特定有害活動(いわゆる「スパイ」)、「テロ」にかかわる情報を特定秘密に指定し、
  • ② 取り扱いや提供を厳しく制約するなど情報管理を徹底し、
  • ③ 特定秘密の漏洩や「管理を害する方法での取得」等を重罪に処する

という構造を持っている。

特定秘密は「行政機関の長」の一存で指定されて、国会や第三者機関の チェックを受けず、「何が秘密かも秘密」とされる。特定秘密を取り扱う公務員や民間企業の労働者には「適性評価」による分断・差別やプライバシー侵害が横 行し、国会や裁判所への特定秘密の提供が厳しく制約される一方、行政機関が「必要がある」と認めれば他の行政機関や警察、外国政府に提供できる仕組みに なっている。さらに、漏えい罪や取得罪、共謀・教唆・扇動罪によって、メディアの取材・報道をはじめ調査・研究活動や平和運動・市民運動などが犯罪とされ る危険をはらんでいる。

秘密保護法は、恒久平和主義、国民主権、基本的人権の尊重と云う日本国憲法の理念を蹂躙する法制に他ならない。

以下論点ごとにツワネ原則(Global Principles on National Security and the Right to Information:Tsuwane principles)に則して批判の要旨を述べれば以下のとおりである。

(1)保護の対象となる秘密が無限定で広汎となる

防衛だけでなく、外交さえも秘密の対象とし、さらに「特定有害活動防 止」「テロリズム防止」も対象とするため、秘密の範囲は広汎なものとなり、内容は曖昧無限定となる。ツワネ原則9は、政府は防衛計画等協議の分野で合法的 に情報を制限することができるとするものの、国際関係、公の秩序、公共の安全等他の理由により、情報を制限する場合には少なくとも本原則に定められる基準 を満たさなければならない(原則2(b))としている。

わが国の特定秘密保護法は、この二つを明確に区別せず、「特定有害活動防止」「テロリズム防止」など防衛計画等以外の分野についても、ツワネ諸原則の基準を逸脱して政府権力の思うがままの制限を課している。

ツワネ原則は何を秘密としてはならないかを明確にしている。わが国の特 定秘密保護法は秘密の対象となる事項を定めているが、極めて広範な事項が秘密指示の対象とされ、他方でどのような種類の情報を秘密指定してはならないかと 言う観点から定められた規定は皆無である。こうしたことは同法が無差別無限定な秘密を一律刑罰をもって保護しようとしていることになり、ツワネ原則に沿わ ないものと云わざるを得ない。

(2)「適性評価」と称する身辺調査

特定秘密を扱うものは行政機関の職員だけでなく、自衛隊の装備品を扱う 民間企業の社員も含まれ、特定秘密を扱わせてよいか否かの適性評価を受けることになるが、犯罪歴、飲酒の状況、信用情報、経済状況など調査項目は広汎に及 び、該当者の配偶者、親族、友人、知人など対象者は無限定・無制限となる。そしてこの適性評価を一体だれがするかが問題とされている。政府答弁でも警察が これに関与することを認めているが、10万人にならんとする対象者及びその関係者を調査するとなれば、警察の保管情報では不十分であり、新たな聞き込み、 尾行、張り込みが大規模に行われることになる。ツワネ原則10Eは「公衆に対する監視システムと監視の実施のための許可手続きについて、公衆は知る権利を 有する。違法な監視の事実は監視対象となったもののプライバシーを侵害しない限り、開示されるべきである」とするが、同法はこのような保障を予定していな い。特定秘密を扱うもの(公務員・民間企業社員)に対する適性評価のための調査は本人の同意を要するが、配偶者、親族、友人、知人に対しては同意は不要で ある。従って一般国民のプライバシーは法に基づく調査活動によって著しく脅かされる。

(3)罪刑法定主義に反する刑罰

刑事捜査においても特定秘密は解除されないため、裁判所の発する逮捕令 状、勾留令状、検察官の提起する起訴状すべてにおいて該当の特定秘密が何であるかが明らかにされないまま裁判手続きは進行し、裁判の審理においても被告 人、弁護人は何が秘密であるか明らかにされないため、被告人の防衛権、弁護人の弁護権は事実上軽視されたまま判決に至る。裁判所に特定秘密を提出して実質 審理することなど全く考えられていない。犯罪が何であるかが不明のままの判決によって罰刑法定主義はその根底から揺さぶられることになる。

ツワネ原則28は「裁判の公開を侵害するために国家安全保障が発動されてはならない」とするが、防衛秘密・外交秘密を理由に公開が妨げられる可能性は極めて大と云わなければならない。

特定秘密を扱う公務員、民間企業社員が秘密を漏えいした場合10年以下 の懲役であるが、未遂、過失も処罰の対象となる。一般に国民も特定秘密を保有するものの管理を害する行為も10年以下の懲役である。特定秘密を知っている と思われる人に情報を求める行為も処罰の対象となる。

ここで問題なのは、共謀、教唆(そそのかし)、扇動(あおる)が5年以下の懲役で処罰されることである。

相手が応じなくても、独立罪として処罰されるが、正犯の犯罪行為が存在しない中での従犯等の処罰は構成要件が曖昧無限定となる。

ツワネ原則43は「漏洩者への訴追は明らかになった情報により生じる公益より、現実的で確認可能な重大な損害を引き起こす危険性が大きい場合に限って検討されるべき」とするが、わが国の特定秘密保護法には、そのような利益のバランスを求める規定は一切ない。

またツワネ原則48は「公務員でないものは秘密探索の共謀によって訴追されるべきでない」とするが、同法はこのような排除規定が存在しない。

秘密とは何かが秘密とされることによる刑事手続きの不明確性は予測不可能な事態を招き、犯罪と刑罰の法定とその間の均衡の必要はいずれもその根底において破壊されることになる。

(4)萎縮する報道機関の取材活動と市民社会

新聞記者による関係者への取材活動も政府答弁にもかかわらず、捜査対象となるから、報道機関の取材には自制が伴い、委縮を免れない。

原発問題やTPP加入交渉等も、特定秘密に含まれるとする政府見解から は国民の生活者生命の安全を左右する問題について、真相究明のための調査や集会も同様に委縮を免れない。特定秘密だと云うだけで、最初からアクセスが遮断 される仕組みとなっている。知る権利と言論表現の自由は大きく脅かされることになる。

ツワネ原則は「公衆は政府の情報にアクセスする権利を有する。それは、公的な機能を果たす、あるいは公的な資金を受け取る私的機関も含まれる(原則1)」

「知る権利への制限の必要性を証明するのは政府の責務である(原則 4)」「ジャーナリストその他、政府に勤めていない人々は、秘密情報を受け取ること、所有すること、公衆に公開する事に対し、また機密情報を求め、機密情 報にアクセスすることについて共謀その他の犯罪で訴追さるべきではない(原則47)」など市民やジャーナリストの情報へのアクセス権を幾重にも保護してい る。

わが国の特定秘密保護法は市民やジャーナリストの情報へのアクセスを近代市民社会が最も大切としなければならない情報公開請求権を含む情報へのアクセス権(いわゆる知る権利)への配慮は著しく欠如している。

(5)立法機能の減退を招き、民主主義の否定につながる国会における「秘密会」審議

特定秘密を国会で審議する場合、全て秘密会で行われることになる。国会 議員が秘密会で知った特定秘密を漏えいした場合5年以下の懲役となる。秘密会審議に参加した国会議員はこれを所属する政党に持ち帰って、その対応を自由に 討議する事さえ制限される。国民の代表で構成する国会は憲法のもとでは国権の最高機関であるとされながら、特定秘密に関しては行政と官僚の監視下に置かれ ることになり、三権分立は形がい化し、民主主義社会は後退する。

我が国の秘密保護法は、秘密指定、解除、適性評価の統一的な基準を定め ることとし、(18条1項)、この基準の策定と変更について、優れた識見を有する者の意見を聞くことが定められている(同条2項)。しかし、この有識者会 議は秘密情報へのアクセス権や秘密指定解除権を有せず、監視機関と云うべき権限を有していない。ツワネ原則は、安全保障部門にはすべての情報にアクセス出 来る監視機関が設置されるべきであるといくつかの重要な原則を提供している。

その第一は、独立性であり、その第二は必要なすべての情報にアクセスできる権限である(原則6,31~33)。

(6)半永久的に秘匿される特定秘密

秘密とされる期間は法により5年と定められているが、これは何回でも延 長することが可能であり、内閣の承認さえあれば30年以上も可能となる。いかなる場合に秘密を解除しなければならないかの解除規定も存在しないから、恣意 的な秘匿が可能である。これ程長期間の秘匿はいわば半永久的に真実を国民の目から遠ざけることになる。

ツワネ原則は、情報は必要な期間にのみ限定して秘密指定されるべきであり、無期限であってはならないとし、政府が秘密指定を許される最長期間を法律で定めるべきであるとする。

わが国の特定秘密保護法は、最長期間を定めておらず、期間の延長については内閣の裁量にまかされている点で、このツワネ原則に照らして恐ろしく不十分である。

10.「日の丸・君が代」問題

地方自治体は規約18、19条に違反する教職員処分をエスカレートさせている——−リストオブイシュー・パラグラフ17についての意見———

 

A、私たちの求める勧告

1.東京都などの自治体で行われている、卒業式・入学式での「日の丸・君が代」起立斉唱・伴奏の強制と教職員処分は、深刻な人権侵害であり18条、19条に違反する。委員会はこれに懸念を示し、自治体で生じている侵害を是正させるために必要な措置を、国が直ちにとるよう勧告する。

2.委員会は、裁判において、自由権規約の関連条項が適切に解釈適用されていないことに懸念を示し、一般的意見22、一般的意見34等に即して自由権規約が裁判で適切に解釈適用されることを確保するよう、国に勧告する

 

B、リストオブイシュー・パラ17に対する意見

3、深刻な教職員処分

昨年7月貴委員会に訴えたのちも処分は繰り返され、東京では10・23通達発出後、戒告、減給、停職処分を受けた教職員は463名にのぼる。(2014年5月現在)大阪では、「君が代起立条例」制定以来57名が戒告、減給処分を受けている。(2014年5月現在)処分は増々深刻になり、規約18条19条違反がまかりとおっている。

 

4、大阪では、免職の危険が迫っている

大阪では2011年「君が代起立条例」「大阪府職員条例」制定後、同一職務命令に3回違反すると免職と定められ、2012年度から施行されている。2014年現在、「君が代起立」職務命令違反で既に2度目の処分を受けた教員が2名おり、来春3月卒業式には、「国家シンボル」敬愛行為への3回目拒否・職務命令違反として免職の危険が迫る。規約18、19条に違反する極めて深刻な事態にある。

 

5、東京都教育委員会は最高裁判決の趣旨を無視して処分を繰り返している

(1)最高裁での処分取消し

2012年1月最高裁判所 は、都教委の累積加重処分を戒め、減給・停職2件2名の処分を取り消した。2013年9月にも05年に減給・停職処分を受けていた30件25名に対し、都 教委の裁量権逸脱濫用を認め、処分は違法であるとして減給・停職処分を取り消した。その後停職処分に対する損害賠償請求も1件認めている。

(2) 一事不再理原則を破る再処分

ところが都教委は、処分が取り消されたうち現職教職員7名に、13年12月再び処分を行った。8年前の同一事案に対する再処分は、一事不再理を定める憲法39条やそれが原則である刑事訴訟法の趣旨からすれば、行政事件訴訟法30条にいう「裁量権の範囲を逸脱した行政庁の権利行使」として違法であり、規約14条7項の趣旨に抵触する。

(3)都教委は、最高裁判決を無視して累積加重処分をしており,規約18、19、2、26条に違反している

都教委の判決軽視は上記にとどまらない。都教委は、最高裁判決で戒められた自らの違法性を省みることなく、判決を曲解して、2013年以降戒告処分を重ねた者に「減給1ヶ月」の累積加重処分をし,過度の制裁を加えている。

 

6、思想転向を強要される「再発防止研修」の質的量的強化は規約18、19、16条に違反し、14条3項(g)の趣旨に反する。

「再発防止研修」制度は 2012年以降、質的量的に「思想転向」を強く迫るものとなった。「服務事故を起こしたときの気持ち」など内心の表白を迫る受講前報告書の作成を義務づ け、受講中は「起立斉唱を命じた職無命令に対しどのようにすべきか」等個人の思想に関わる質問をして被処分者に自らの回答を読み上げさせ、受講報告書には「今後服務事故を起こさないために、校長の職務命令に従うべきである事が理解できた」などマークシート上のチェックを義務づけるようになった。研修は13年度には多い人で年間19回に及ぶ。直ちに中止が必要である。

 

7、大阪府では「君が代」を歌っているか口もとまでチェックしており、規約18、19条違反である。

中原大阪府教育長は、2013年9月に 続いて翌年1月にも、「教職員の起立と斉唱をそれぞれ現認する」(現認は)「目視で教頭や事務長が行う」という口もとチェック通知を府立学校169校全て にだした。「君が代」を謳っているかどうか1人1人の口もとを監視して処分をするというのは、口をこじあけ無理矢理うたわせることと同義である。口もとチェックは、起立斉唱行為が、最高裁のいう「慣例上の儀礼的所作」ではなく、一般的意見34パラ38に懸念される明白な「国家シンボル」敬愛行為の強制であることを一層明確にした。

 

8、教職員処分の最終の目的は子どもへの強制である。規約24条、子どもの権利条約、障がい者権利条約に違反し、外国籍の子どもへの分断を禁じる人種差別撤廃条約に抵触する恐れがある。

パラ3〜7で述べたように、 強制と教職員処分はやむところを知らない。処分は形式的には「職務命令違反」であるが、教職員が「国家シンボルへ敬愛・服従しない事」への過酷な制裁であ り、真の目的は教職員を服従させ、教職員を通じ「教育行為」として子どもに対して「国家シンボルへ敬愛と服従」を強要することにある。規約24条、子ども の権利条約12、13、14、28条等に違反する事態がすでに起きている。(注1)子どものへの侵害を止めるために、政府が規約18、19条を遵守する措置をとるよう、勧告が急がれる。

 

C、日本政府回答に対する意見

10、政府は、人権侵害状況について、および最高裁判決が国際条約上の判断をしていない事実について、一切報告せず、規約18、19条違反の状況を容認している。

13年7月レポート(注1)で明らかにした、深刻な人権侵害をこうむっている教職員および子どもたち,市民の状況に対し、政府は一行の報告もしない。

また、処分を受けた教職員側の、自由権規約18、19条,子どもの権利条約12、13、14、28条、1966年ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」3、6、61、63、79、80項違反の主張に対し、12年1月、13年9月最高裁がなんらの判断も示さない事実について政府は報告をしない。

一般的意見22パラ8「具体的な状況における制限の適用がどうなっているのかの情報」は、パラ9「宗教的少数者の権利の尊重についての情報は締約国が思想、良心、宗教および信念の自由をどの程度実施しているか委員会が判断するために必要」なことであり、

リストオブイシュー・パラ4にも求められている。政府は条約を軽視せず、報告しなければならない。

 

11、パラ187 「起立斉唱」を職務命令することは,規約18、19条違反である。

(1)卒業式及び入学式は教育活動の内容であり、教育課程(カ リキュラム)に属している。 教育課程(カリキュラム)の編成は学校を主体に行われることは国際的な常識である。国レベルでの基準である「学習指導要領」においても、入学式および卒業 式は、「特別活動」という領域の中の「学校行事」の一部をなしている。そして、教育課程の編成は各学校が行うと「学習指導要領」には明記されている。した がって、入学式および卒業式をどのような形態で実施するかは、各学校の教育課程の編成権に属する問題である。

(2)「学習指導要領」には、「入学式および卒業式等においては国旗を掲揚し国歌を斉唱するものとする」との記載がされている。しかし、「学習指導要領」 の記載事項は「大綱的」な「基準」であり、「起立・斉唱」を含めて具体的にどのような形態で実施するかを決定するのは各学校であり、その内容について教育 委員会が命令を発することは法令上できない。

(3) 第2次世界大戦後に制定された学校教育法では「教諭は教育をつかさどる」と規定している。これは同法に先行する戦前の「国民学校令」の規定を改定し、「校 長の命令」という文言を敢えて外したものである。それは教員の仕事の専門職性を踏まえた規定であり、その専門職性については、後にユネスコ1966年「教 員の地位に関する勧告」6項及び61項に規定されたところである。

(4)教員の専門職性を踏まえれば、校長が教育の内容に関して教員に対して職務命令を出すことは通常はありえないことである。入学式および卒業式等の具体 的な実施形態については、教員の専門職性を踏まえた十分な議論と検討を経たうえで決定されねばならず、校長が一方的に「起立し国歌を斉唱するよう教職員に 対して職務命令を発する」ことは、教員の専門職性を侵害したものとなり、かつ教員や生徒の思想・良心の自由を侵害するものとなれば違法性を免れない。

(5)国旗国歌に対する起立斉唱行為は、職務以前の個人の思想・良心の自由に関わる問題であり、上位法である憲法19条に照らして、「敬意」の表明を含む行為が人権の間接的な制約になることは最高裁も認めている。

(6)また、国際人権の基準では、「旗やシンボルに対し“敬意”を表明しないこと」を以て罰則を科すことは「意見・表現の自由」の侵害に当たると、自由権規約委員会『一般的意見34』のパラグラフ38において指摘されている。

すなわち、命令不服従者に対して懲戒処分を科している本件職務命令は、個人の思想・良心・信教の自由と意見・表現の自由を保障した自由権規約18条、19条違反であり、各条文第3項の人権制限を許容する条項のいずれにも該当しないものである。

私たちは、日本の中央の教育行政の責任者が、教育及び人権に関する国内法の法理、及び人権に関する国際規準をも踏まえていないことを厳しく批判するものである。

 

12、パラ188 政府が援用している最高裁判決(11年6月6日)は、違憲であり、規約違反である。

(1)「職務命令の目的および内容」には「必要性合理性」はなく,18、19条3項に定められる制限をこえる。

最高裁は、起立斉唱職務命令 が思想良心の自由への間接的制約にあたることを認めたものの,自由権規約委員会がとる「厳格な審査」ではなく「緩やかな審査基準」を用い「儀式的行事」に おける「生徒等への配慮を含め、教育上の行事にふさわしい秩序を確保して式典の円滑な進行をはかる」ために「職務命令」には「必要性合理性」があると判示 した。(11年5月31日最高裁判決以降の「日の丸・君が代」訴訟にかかわる判決すべて)

しかしながら、教職員の不起 立等によって式典の妨害や、生徒への配慮が欠ける等、式の円滑な進行に重大な支障がもたらされたなどという事実は過去においても現在も一切ない。(最高裁 も認定)「職務命令」の制約目的は必要不可欠とはいえず、手段・方法が必要最小限の制限であるともいえない。「職務命令」は過大な制約手段であり違憲であ り、

18、19条3項に許される制限をこえ18、19条に違反する。

(2)「職務命令」の真の目的

11年6月最高裁判決宮川反 対意見に、「式典の円滑な進行をはかるという価値中立的な意図で発せられたものではなく・・・・不利益処分をもってその歴史観等に反する行為を強制する事 にあるとみることが出来る」と的確に指摘されているように、職務命令の真の目的は思想良心の規制にあり、不服従教職員のあぶり出しにあるのであり、規約 18条1項に違反する重大な侵害である。

大阪府立全校での「口元チェック」、東京での再処分、不起立等しそうな教職員のみへ職務命令書の個別発出(都下小・中学校)の事実はそれを如実に物語っている。

7月レポート(注1)のD7、E−3−(3)に、最高裁判決の条約違反、および職務命令のバックボーンである「10・23通達」は法的根拠をもたず、規約18、19条3項違反について詳述した。参照されたい。

 

13、パラ189 絶対服従の「職務命令」は、存在しない。

(1)「職務命令」の要件

教職員は地方公務員法32条 を根拠にして職務命令に従うべしとされるが、職務命令は(あ)指揮監督権を持つ直属の上司から発した、職員の職務に関係するものであること(い)その命令 は法律にかなっていること等を満たしていなければならず、絶対服従命令など、一般的意見22パラ9、11に明らかなようにあってはならない。

(2)「起立斉唱」は教職員の遂行すべき職務にはあたらない

「起立斉唱行為は、教員が日 常担当する教科等や日常従事する事務の内容それ自体には含まれないもの」であり「敬意の表明の要素を含む行為」であると、最高裁自らがのべているように、 「起立斉唱行為」は職務にはあたらず、校長が上司としての地位を利用して教職員へ起立斉唱を強制するのは18条1、2項に違反である。

(3)「起立斉唱命令」は教職員の職務上の独立を侵す

教育公務員は「教育を通じて国民全体に奉仕する職務と責任の特殊性」(教育公務員特例法1条)に基づいて、職務を遂行するとされる。

パラ11(政府報告パラ187反論)で述べたように、校長からの独立性は学校教育法で保障され、ユネスコ・ILO勧 告など、教職の専門性自主性は、国内、国際的に認められている。「卒業式・入学式」において生徒を指導する立場にある教員には、専門性に由来する自主的な 判断が保障されなければならず「教師に対し一方的な理論ないしは観念を生徒に教え込むことを強制する」ような職務命令は職務上の独立を侵す。

(4)違憲違法、規約18、19条違反の起立斉唱職務命令に従うべき義務はない。

「国旗国歌」への「敬意の表明の要素を含む行為」を命令強制することは、規約18条2項で固く禁じられ、一般的意見22パラ5・8・9一般意見34パラ33・34・38で強く戒められており、職務命令は違憲であり規約違反である。

教職員の起立斉唱行為は、子どもの起立斉唱行為を促し、事実上の強制となっている。教職員が子どもの思想良心の自由を侵害する加害者にならないためにも、教職員には、規約違反の職務命令への「抗命権・抗命義務」こそが認められるべきである。一般的意見22パラ11はその権利を示唆している。

 

14、パラ190 懲戒権者都教委には裁量権逸脱濫用、処分違法の判決がくだされている

(1)懲戒権者の裁量権と司法審査

民法第1条3項に「権利の濫用は、これを許さない。」行政事件訴訟法30条「行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。」とされており、裁量権行使には限界がある。

(2)懲戒権者都教委は「その権限と責任に基づき適切に判断」していない

懲戒権者都教委は、規約18、19条 に反する不当な教育支配の意図や不服従教職員のあぶり出し制裁の目的を持って処分をしており、処分の目的は制度目的を逸脱している。また不起立等行為の程 度と戒告以上の制裁を受ける不利益程度には権衡をかき比例原則に違反するなど、懲戒権者都教委は、到底適切な判断をしておらず、違法で規約違反の処分を 行っている。

(3)司法は都教委の裁量権逸脱濫用を戒めている

2012年1月および2013年9月最高裁判所は、都教委の裁量権逸脱、濫用を認めて,32件27名の減給、停職処分を取消している。

(4)最高裁は、都教委の処分行政に謙抑対応を求めている

2011年5月以降の最高裁判決において、2名が反対意見をのべ、多数意見にくみする裁判官からも、都教委や教育行政のあり方を問題視する補足意見が多数出されている。

近々では、13年9月最高裁判決鬼丸補足意見「当該不利益処分を科する事が裁量権の濫用或は逸脱となる事もあり得るところであり、これらの事情に配慮した謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべきである」が出され、都教委へ謙抑的対応を求めた。

 

D、結論

15、「日の丸・君が代」起立斉唱・伴奏の強制と、拒否に対する懲戒処分は、18条1項・2項・3項・4項、19条1項・2項・3項,2条1項、16条、17条、24条、26条に違反する。教職員の職務命令拒否は,思想、良心、信仰、教育信念,職責意識等から発する真摯な動機によるものであり、国は18条19条2条16条17条24条26条を遵守し、教職員を守らなければならない。ところが、国は処分を容認し、懲戒権者による強制と制裁はエスカレートし、教職員は免職の危機に直面するなど、過酷な状況におかれている。直ちに勧告が必要である。

16、司法判断は憲法論においても、裁量権論においても極めて不十分であり、自由権規約を解釈適用した形跡がない。司法判断によって、教職員は思想良心の自由の権利、教育の自由の権利、経済的保障などをうばわれ,侵害が固定化させられている。一般的意見22パラ1・2・3・4・5・6・8・9・11、一般的意見34パラ33・34・38等に即して自由権規約が裁判で適切に解釈適用されることを確保するよう、直ちに勧告が必要である。

17、日本において、国家シンボルへの敬愛強制は、今後一層強められる危険性がある。学校では、日本軍慰安婦の記述の排除、愛国心と排外主義をあおる歴史や領土問題を記載した教科書の使用が強いられ、地方議会や地方教育委員会では「日の丸・君が代」強制事実を記述した社会科教科書や悲惨な戦争実態を描いた図書を排撃している。自民党は改憲草案の3条の2項に「日本国民は,国旗および国歌を尊重しなければならない」などと義務化を明記している。規約18条19条はもとより子どもの権利条約、障がい者権利条約,人種差別撤廃条約などの条約遵守に逆行する日本の動きにはただちに警告が必要である。規約18、19条に違反して、起立斉唱を命令し処分を行っている地方自治体を容認する政府に対し、規約18、19条を遵守し権利侵害への是正措置をとるよう、強く勧告をすることをもとめるものである。

注釈1国際人権活動日本委員会2013年7月20日提出レポート(7—規約18、19条)

 

11.個人情報保護条例問題

国歌斉唱時に不起立であった教職員の氏名収集は規約17条に違反する

A結論と提言

・日本国の個人情報保護法は、センシティブ情報の収集・保管の禁止規定、第3者機関による独立した監視機関の設置規定を持っておらず、行政権力による思想信条情報の収集に何ら歯止めがない(規約17条違反)。

・教育公務員は、国旗(日の丸)・国歌(君が代)に対する敬意の表明が強制され、従えない者は処分されている。その基礎資料として、上記情報が利用されている。(規約17条、18条、19条違反)

・上記の状態を解消するよう、懸念および勧告を出していただきたい。

B 不起立情報の収集は規約17条に違反する

本件はリスト・オブ・イシューのQ17、それに対する政府回答と密接な関係があり、極めて重要な問題である。

センシティブ情報の収集禁止規定や第3者監視機関の設置規定は今や国際的標準である。不起立情報の収集・保管は、規約17条1項、2項に違反する。

政府回答は、教育公務員は上司の命令に従わねばならないことばかりを強調しており、規約19条、一般的意見34パラグラフ38「旗や象徴に対する不敬」に関する貴委員会の懸念を全く無視している。

厳しい処罰を招かないためにも、処分に至る前の段階でセンシティブ情報の収集を禁ずることが重要と考える。

C 私たちの意見

1「日の丸・君が代」への敬意の表明が強制されている

  • (1) 思想信条情報の収集の問題は、卒業式、入学式において国旗(日の丸)・国歌(君が代)に敬

意を示すことはできないとして、起立しなかった教職員の氏名収集、その者に対する処分という形

で表面化した。

(2) 「日の丸・君が代」は海外で2000万人、国内で310万人の犠牲をもたらしたとされる、かつての日本の侵略戦争のシンボルである。そ のシンボルに対してどうしても敬意を表すことはできないという国民は教職員に限らず多数いる。不起立はまさに個々人の歴史観、世界観に裏付けられた思想信 条に基づく行為であり、不起立情報は思想信条情報である。

(3) 規約19条に関する一般的意見34パラ38では「旗や象徴に対する不敬」による処分に関し懸

念が表明されているが、日本の現状はまさにその懸念にそっくり当てはまる。

(4) 最高裁判決は、起立の職務命令は憲法19条「思想、良心の自由」の間接的制約に当たるとしたにもかかわらず、下級審である東京高等裁判所は、不起立情報が思想信条情報ではないと判断した。これについては後に述べる。

(5) 大阪府では不起立だけでなく、教職員の口元を管理職が調査し、きちんと歌っていない教職員の氏名を文書で報告するよう求めている。3度不起立なら免職という重い処罰も条例で定められた。また、東京をはじめ全国で、不起立者に対し処分が科されている。政府は何ら改善しようとしていない。

 

2 教育公務員に自己情報コントロール権がない

(1) 日本政府、裁判所の考え

a 「国旗・国歌」に対し敬意の表明が強制されること自体、多くの民主主義国では想定さえできないであろう。しかし、日本では、教職員は起立して自ら生徒に範を示さねばならないとされ、従わなければ服務違反として処罰をうけている。

b 最高裁判所は、不起立行為については「個々人の歴史観・世界観に由来する行動」として、起立を求める職務命令は思想信条を「間接的に制 約」するとした(Q17に対する政府回答を参照)。しかし、「厳格な違憲審査」をすることなく、「必要性と合理性」という緩やかな判断基準により、合憲の 判断をしてしまった。そのため、不起立者に対して戒告さらには賃金カットの処分がくり返しなされ、更に退職後の再任用の道も閉ざされている。これは年金が 支給されるまで収入の道が断たれることを意味し、極めて厳しい処罰である。

 

  • (2) 不起立の理由がなければ「思想信条情報」とはいえないという裁判所

a 神奈川県の場合、条例で思想信条情報の収集を原則禁じているが、そのような県でさえ不起立者の氏名収集を行っている。県が持つ2つの第3者機関(神奈川県個人情報保護審査会[1]、神奈川県個人情報保護審議会[2])が氏名収集を「してはならない」との答申を出したにもかかわらず、神奈川県教育委員会はそれに従わず、法廷(原告25名)で争われることとなった。

b 東京高等裁判所は、不起立情報には「不起立の理由」が記載されておらず、「不起立だった」という情報だけでは思想信条情報とはい えないという驚くべき判決を出した。さらに、たとえ県が不起立理由を知っていても、収集された情報そのものに不起立の「理由」がないので思想信条情報では ないとしたのである。最高裁判所が不起立は「個々人の歴史観・世界観に由来する行動」と判断したあとにも、このような判決が出されているのである。最高裁へ上告したものの棄却され、高裁判決が確定してしまった(2013.4.17)。

c 不起立という行為は「思想信条」に基づくものであり、1999年の国旗国歌法成立時にも議論されているとおり、改めて理由を収集するまでもなく「公知の事実」である。高裁判決は公権力に思想調査を許す判決である。

 

  • (3) 不起立の実態

不起立者はただ静かに座っているだけであり、式の進行を妨害したり、他者に迷惑をかけているわけではない。ただの1人の不起立者も許さないというのが行政当局の姿勢であり、恐ろしいほどの執念で不起立者を見つけ出している。

 

  • (4) 「センシティブ情報は定義できない」という日本政府

a 日本の個人情報保護法にはセンシティブ情報収集禁止の規定がない。この規定はすでに国際標準であるばかりか、個人情報保護条例を策定している地方自治体の6割が既に実施しているものである。

b 国はこれを立法化しようとさえしていない。国が個人情報保護法を立法化(2003年に成立)する際、日本弁護士連合会や野党はセンシティブ情報の収集禁止、独立した第3者による監視機関の立法を求めていたが、それらは受け入れられなかった。

c センシティブ情報収集禁止の規定をもつ自治体でさえ上記で述べた状態であり、センシティブ情報の収集に関し、しっかりした法整備がなされていないところに、上記の事例のような行政や裁判所の判断がまかり通る原因がある。

d 日本政府(総務省)は「何がセンシティブ情報であるか定義することは困難」として、個人情報保護法にセンシティブ情報の収集禁止規定を盛り込まず、現在もその意思はない。

その理由として、政府は「仮に、思想・信条といった情報を行政機関が収 集することを禁止したら、例えば、読書感想文や作文を募集することも不可能になってしまうおそれがあるなど、非現実的な側面もあります。」と具体的例を挙 げているが、まさに人権水準の低さを露呈している。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/question05.html

 

D 情報のコントロール権が公権力に集中している日本

昨年、特定秘密保護法 が成立したが、これは政府が秘密と特定した情報が何であるかを隠し、更にそこに国民がアクセスすることを禁じ、違反者に重い罰を与える制度である。市民に は政府の情報にアクセスする権利を制限し、一方、政府が市民の情報、とりわけセンシティブ情報を収集することには制限がないのである。「すべての情報は国 家のもの」といわんばかりである。

教育公務員にも思想信条はあり、それに基づく行為も認められなければな らない。服務を理由として思想信条を制約し、従えなければ氏名を収集し、不利益処分まで引き起こしている姿は、とても国際人権の標準とはいえない。とりわ け日本における「国旗(日の丸)・国歌(君が代)」をどう考えるかは個々人にとって歴史的に評価の分かれるセンシティブな問題なのである。

思想信条情報の収集に一定の制限がかけられれば、不起立者への不利益は防げる可能性がでてくる。従って、以下の諸点について貴委員会が懸念および勧告を出すことを強く期待する。

1)不起立情報が思想信条情報ではないとした裁判所の判断について懸念を表明する。

2)個人情報保護法に、センシティブ情報を収集することを原則禁止する条文、権限を持つ独立した第3者機関の設置を義務づける条文が無いことに懸念を表明し、立法化するよう勧告する。

12.障がい児の権利問題

自由権規約第24条に違反する、国・東京都の障がい児教育―リスト・オブ・イシュー/パラグラフ4・17・21・25に対する意見―

A  求める勧告内容

1  障がい児の個別ニーズに合わせた、適切で、合理的配慮のある教育を受ける権利が、 国・東京都によって侵害されている事実に、懸念を表明してください。

2  規約24条、その土台である2条・16条、関連する26条が国・地方自治体で尊重され、障がい児がその権利を十全に保障されるよう、国・地方自治体で生じている人権侵害実態の是正に必要な措置を、国としてとるよう勧告してください。

 

B  リスト・オブ・イシューに対する意見

3 リスト・オブ・イシュー パラグラフ17

日本国内の学校で「日 の丸・君が代」が強制され、ジェンダーバッシングや特定教科書の押しつけをはじめ国家主義的な教育が強められる中、とりわけ大きな侵害を受けているのが障 がい児である。貴委員会からの質問は教職員に限局されており、子どもの思想や意見表明権の侵害等の問題には言及されていない。私たちは、規約24条子どもの権利が侵害されていることを看過しえない。今回は、侵害の一例として卒業式・入学式における権利侵害と性教育バッシングについて報告し、貴委員会の注目を切望するものである。

4 リスト・オブ・イシュー パラグラフ21・25

国や東京都は、性教育 を大きく制約し、ことに障がい児学校において、子どもが自分のからだを科学的に学ぶ権利や、人間の尊厳、価値、人権、多様性などを学ぶ権利・機会を奪って いる。また卒・入学式においては、障がい児の思想良心・意見表明・健康で安全に過ごす権利などを侵害し、卒業に向けた創意工夫ある個個に応じた学習を侵害 している。

  障がい児は、人としての尊厳,生きる権利を脅かされており、弱者差別されている。 パラグラフ21・25では残念ながら触れられていない、障がい児に対する、自由権規約2 条、16条・24条・26条違反,子どもの権利や障害者権利条約違反に対して、貴委員会からの言及と勧告を求める。

5 リスト・オブ・イシュー パラグラフ4

最高裁判所は,2013年11月、東京都立七生養護学校の保護者・教員が訴えた「性教 育実践に対する都議・都行政介入事件」に対して、都議の侮辱行為は「不当支配」にあたり、都行政の教員保護義務違反であると断じ原告勝訴の判決を出した。これは、性教育実践を保障する評価すべき判決とはいえ、国際条約遵守の視点や適用がなく、到底満足のいく判決ではないことを情報提供する[3]

C 侵害の事実

6 日本・東京における性教育へのバックラッシュ

1996年、中学校の全歴史教科書に日本軍「慰安婦」の記載が明らかになると「慰安婦」問題とともにジェンダー教育バッシングが始まった。2002年5月、教科書・性教育教材が国会でとりあげられ,「ジェンダー」という言葉の使用が禁止され、全国に波及した。東京では、2002年研究雑誌に掲載された小・中・養護学校計11校の性教育実践が問題視され、都教委による「調査」が開始された。全国全都で、性教育バッシングは広がり、強まっていった[4]

7 2003年東京都立七生養護学校事例

1) 東京都立七生養護学校[5]では1997年 に子どもたちの間で性の問題が次々と起きたため、学校で組織的に性教育に取り組み始めた。小学生段階では、性器を含めた体の清潔、排せつ指導も性教育の一 環として学び、中学部では二次性徴を肯定的に学び、高等部では性交や避妊などを学習するカリキュラムをつくり取り組み、七生養護学校の性教育は、高い評価 を受け全国的に有名になった。

2) 2003年7月2日東京都議会においてA都議が、七生養護学校での性教育を問題視し、 当時の横山教育長・石原都知事も同調し、調査、教材廃棄の必要性が主張された

3)  2日後、A都議が議員や都教委職員,新聞記者など10名余を連れ、七生養護学校 を視察・調査し、保健室に保管されていた性教育教材を並べさせ、教材の人形を下半身のみ裸にし、写真に撮った。そしてすべての性教育教材を没収した[6]

4) 年度末には3分の1に当たる教員を異動させ、実質的に性教育実践を停止させた。

8 7月14日東京都は、「都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会」を設置、「不適切な性教育」等の調査に乗り出し、9月には、28校の校長・教諭など116名の減給・戒告・ 厳重注意処分をした。元七生養護学校校長を一般教諭に降格及び停職1ヶ月の処分。七生養護学校教員13名の厳重注意処分も含まれている。

9 同調査により、全都の障がい児学校から性教育教材を押収。性器、性交、妊娠、出産 にかかわる、人形や絵本、映像など具体的視覚的教材は使用禁止となった。

10 都立七生養護学校の保護者・教員31名が提訴した裁判は勝訴した(パラグラフ4)。  判決では、七生養護学校の教育実践は学習指導要領にも違反せず、子どもの発達段階を無視しているとは言えないなど判示された。にもかかわらず、東京都 は、没収した性教育教材を全面返還せず、また都教委発行の「性教育の手引き」には不適切事例として、いまだ七生養護学校の性教育実践を記載している。障がい児学校では、性教育は取り組まれない状況が今も続いている。

11 「日の丸・君が代」問題における障がい児の権利侵害

それまで卒業式は学習の集大成としてのお祝いの日、入学式は新しい子どもを迎え 入れるお祝いの日、として子どものニーズに合わせて各学校で創意工夫されてきた。ところが、2003年10月23日東京都教育委員会は、入学式・卒業式などの儀式において、儀式のあり方を画一的な形式に変える命令を出した[7]。これによって、子どもの意見表明権、思想・良心・宗教の自由は侵害され、特に障がい児学校では子どもの実態やニーズに合わない教育が行われることになった。そして侵害は03年以来強められ、常態化している。多くの侵害の事実[8]があるが、ここでは、そのごく一部を述べる。

12 健康に過ごす権利の侵害

「君が代」斉唱中教員へ起立を強制するために、呼吸や姿勢に問題が生じた子どもへの緊急の対応をすることなどを管理職が禁じ、子どもたちは安全、健康に過ごす権利を侵害されている[9]

13 思想・良心の自由の侵害

「君が代」斉唱時に子どもたちの身体に触れて強制的に起立させる、あるいは不起立を表明した子どもの家庭に調査を行う等、子どもの思想・良心、意見表明の権利が侵害されている[10]

14 自由に移動する権利の侵害

障がい児学校の卒業式は、子どもたち一人一人の実態に即した様々な工夫が積み重 ねられてきた。ステージではなくフラットな会場を使用し、親や在校生が卒業生をかこみ、祝福する形態がとられてきた[11]。しかし、儀式としての厳粛さばかり求められ、卒業証書の受け取りが壇上でしか認められなくなった。その結果、壇上に上れなかったり、転落危険のため子どもが車椅子を操作して自分で証書を受け取ることが不可能になったりした。

15 子どもたちが式に主体的に参加し作りあげる権利の侵害

命令により、卒業式等は 国旗掲揚・国歌斉唱を中心とする内容に変えられた。子どもたちの活動の表現である作品の装飾が排除され、卒業生と在校生との交流の機会も制限された。その 結果、特に知的障害のある子どもたちにとって理解しにくいものになり、式が終わるまで苦痛を強いられる場となった。

また式に対する保護者の意見は、校長・都教委からまったく顧みられることはなかった。

 

D 私たちの意見

<健康に自由に育つための権利>

16 子どもたちは、健康を最善の状態に保つことが最優先に保障されなければならない。 子どもたちは、命令による教育ではなく、子ども自身の自己決定を基盤とし、自主的・自発的な成長をうながし・援助する教育を受ける権利を保障されなければならない。

17 しかし、国・東京都は、自由権2・16・24・26条,一般意見17パラグラフ3を無視し、子どもの権利条約23条、障がい者の権利条約10・24・25条に違反する重大な侵害行為を行っている。そのため障がい児の生きる権利が脅かされている。

<「われわれのことを我々抜きで決めるな」>

18 障がいの有無、程度に関わらず、子どもには思想・良心の自由、意見表明権、自己決定  権、子どもたち同士の最善のコミュニケーションを図る自由,教育内容を要求する権利が保障される。発達年齢により親や法定保護者とともに権利行使すること を保障されている。また、規約18条4項には親や法定保護者の権利が明示されている。

19 子どもにとって、自分のからだを学ぶことは、自己を肯定する力となり、人間として の尊厳・価値の学びにつながる。障害があっても、性器、性交、妊娠、出産の仕組みを科義学的に学ぶ権利は保障されなくてはならない。

20 車椅子で生活する子どもにとって車椅子は移動に不可欠の手段であり、自己決定、自 己表明、自己実現に不可欠な体の一部である。車椅子を操作し自由に動くことは当然保障されなければならない。

21 しかし、国・東京都は、自由権2・16・24条や18条4項を尊重せず、子どもの権利条約23・28・29 条,障害者権利条約1・3のh・10・20・24・25条に反し、障がい児の自主、自立、尊厳を侵している。

<障害は個人ではなく社会にある>

22 子どもたちは一般意見17パラグラフ1や一般的意見18パラグラフ8に述べられているように障がいの実態に合わせ、丁寧に、わかりやすい教育内容はじめ、あらゆる工夫された教育を受け取る権利がある。

23 しかしながら、東京都・国は、学校で子どものために考えられた性教育や卒・入学式を許さない。このため、障がい児は多くの「障害」に直面させられている。

 

<世界人権宣言(2・3・6・26条)自由権規約(2・16・18条4項・24・26条)の尊重>

24 自由権規約委員会の事前質問に対する日本政府回答

日本政府回答パラグラフ20には、能力に応じた教育をおこない、教育上差別されな いと報告されているが、実際には障がい児のニーズを無視した教育を強制している。

25 日本政府回答パラグラフ83から87には、人権教育の実施と充実が報告されているが、 実際には国・東京都こそが人権尊重の教育を破壊している。

26 一般意見3パラグラフ1を踏まえるならば、国・地方自治体は、直ちに国・地方自治体で生じている障がい児にたいする人権侵害を是正するために必要な措置を講じなければならない。

13.JALによる165名の不当解雇裁判にかんする報告

はじめに

JAL(Japan Air Lines)は、過去からの放漫経営と航空政策の失敗により、巨額な負債を抱えて、2010年1月に破綻した。そして日本政府は、国民の交通手段を確保し ながら再生する、 会社更生手続きを選択した。これによって、JALの便は継続して運航を続けることができた。

その一方で、JALは会社更生手続き開始からわずか9か月後に、解雇回避措置など行わずに、パイロットと客室乗務員をあわせて165名を整理解雇した。

整理解雇された者のうち148名が東京地方裁判所で解雇無効を訴えった。1年3か月後に出された判決は、整理解雇を認めるものであった。

こうした不当な解雇とそれを認める判決は、自由権規約22条に反し、病気欠勤履歴や年齢を理由にした解雇は、自由権規約第26条「差別の禁止」に違反している。この判決にたいして、国内の多くの労働組合、弁護士、研究者から批判の声が上がっている。

現在、東京高等裁判所にて審理を行っており、2014年5月と6月に判決が出される。本報告書では、東京地裁の不当な判決を解説する。

東京地裁裁判の経緯

2011年1月19日に、整理解雇されたパイロットと客室乗務員のうち、148名が原告団を結成して、東京地裁へ解雇撤回の裁判を開始した。

この裁判は、パイロットの裁判と客室乗務員の裁判を同時進行で行いながら、かつ迅速に審理を進めた。その結果、地裁の判決は、提訴から1年2か月でだされた。近年の裁判でも進行の速さは異例のスピードであったと言える。

  1. 判決のポイント

東京地裁の判決は、パイロット裁判ならびに客室乗務員裁判共に、解雇を有効とする不当な内容となっていた。両判決ともに、整理解雇の4要件については否定せず、その要件自体を大幅に緩和したものとなっていた。

こうした瓜二つの判決が出来てくることは、事前の調整なしでは考えることができない。そしてそのことが憲法で定める裁判官の独立性が保たれたのかということへの疑念が生まれてしまうものである。

  • ① 第1要件、「解雇の必要性」はあったのか

整理解雇を行った12 月31日の時点で、JALには1400億円を超える営業利益があった。また、人員削減計画にあった、JAL本体で約1500名ということも、実際には 1700名以上の希望退職があり、整理解雇までして削減することの合理性は見当たらなかった。さらに、当時の最高経営責任者も東京地裁において、「経営上 からすれば解雇の必要はなかった」と証言して、必要性を否定した。

  • ② 第2要件、「回避努力」を尽くしたのか

判決では、希望退職の募集をくりかえし行ったことや退職一時金の割増、年齢の高い労働者は賃金が高くなり退職金も相応であるとして評価した。しかし、実際に解雇された人たちが被る被害の度合いなどは考慮されていなかった。

また、組合側から提案した解雇回避のためのワークシェア、一時帰休、転籍、出向などをJALが一切行わなかったことについても、実際の頭数が減ったことにならないというJALの主張を認め、第2要件を形骸化させてしまった。

  • ③ 第3要件、「人選基準に合理性」はあったのか

両判決ともに人選基準の合理性の判断では「病気欠勤や休職したものを解雇する基準」と「年齢の高い者から解雇する基準」について、いずれも使用者の恣意の入る余地がない客観的基準であるとした。

そして安全運航にあたえる影響については、「安全運航に支障をきたすとするには論理に飛躍がある」として安全にたいしての不見識さまで暴露したのである。

  • ④ 第4要件、「手続きの合理性」はあったのか

両判決ともに労働組合との交渉を行った回数のみに着目したにすぎず、その内容がいかに交渉として不足していたかという私たちの主張は退けられた。

まとめ

JALが行った不当な整理解雇の撤回を求める裁判は、東京高裁で審理されている。この裁判の判決が2014年5月と6月に出される。

控訴審では、整理解雇4要件が厳格に適用されることと、JALが行った差別的な不当労働行為を立証した。近年の日本における労働裁判は、労働者の権利を奪う不当な判決が続いている。

こうした厳しい状況においても、国内外を問わずに、この裁判闘争をたくさんの人が支援している。JALの行った解雇は、自由権規約に明白に違反しており、一日も早い是正が求められている。

 

14.消防職員の団結権保障を早期に実現せよ

消防職員ネットワークは、1997年に結成され、現在約1000人の消防 職員が加入しています。本会の目的のひとつが、156,000人の消防職員の悲願である団結権保障を早期に実現することです。1995年と1997年、 2008年にILO本部を訪れ、団結権の回復を要請し、自由権規約委員会ほか国際人権機関へのレポートも機会あるごとに提出しています。

A、論点

自由権規約22条1項、2項、3項に関連して

1979年に日本政府が「市民的および政治的権利に関する国際規約」と「経済的、社会的 および文化的権利に関する国際条約」を批准する際に、「警察の構成員」に日本国の消防職員が含まれると解釈した宣言を国連に通告しました。政府は、事実に 反するこの解釈宣言を撤回していません。

B、自由権規約委員会の勧告・懸念

この違反に関して自由権規約委員会から日本政府への勧告・懸念等は示されていません。

C、政府の対応

(1)国際人権規約批准時の日本政府の「解釈宣言」は国際法違反である

日本政府は1965年にILO第87号条約を批准しました。当時、日本政府は消防職員に団結権を保障しないままこの条約を批准したために、この問題を現在まで引きずることになりました。ILO第87号条約第9条は下記のとおり規定されています。

1 この条約に規定する保障を軍隊及び警察に適用する範囲は、国内法令で定める。

2 国際労働機関憲章第19条8に掲げる原則に従い、加盟国によるこの条約の批准は、この条約の保障する権利を軍隊又は警察の構成員に与えている既存の法律、裁定、慣行又は協約に影響を及ぼすものとみなされない。

また、日本政府は1979年に社会権規約と自由権規約を批准する際、次のような解釈宣言をしました。

日本国政府は,結社の自由及び団結権の保護に関する条約の批准に際し,同条約第9 条にいう「警察」には日本国の消防が含まれると解する旨の立場をとったことを想起し,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第8条2及び市民的及 び政治的権利に関する国際規約第22条2にいう「警察の構成員」には日本国の消防職員が含まれると解釈するものであることを宣言する。

(2)第6回日本政府報告とその後の経過

自由権規約第6回日本政府報告で消防職員の団結権保障問題が下記のように記述されています。

我が国は、1978年に同条 2の「警察の構成員」に我が国の消防が含まれるとの解釈宣言を行っているが、消防職員の団結権問題については、1995年に国民的コンセンサスの得られる 解決策として消防職員委員会という仕組みを導入した。2005年には、同制度の運用を改善するため、総務省・消防庁と全日本自治団体労働組合との間での議 論における合意を踏まえ、意見とりまとめ者制度の創設などの改正を行った。その後、2010年1月に「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」を総務省 に設置し、労働者側及び使用者側双方の代表者からの意見及び関係団体からのヒアリング結果等を踏まえ、2010年12月に報告書をとりまとめたところであ る。

政府が 2012年9 月に急きょ立ち上げた「地方公務員の自立的労使関係制度に関する会議」(有識者会議)は10月に報告がまとめられ、消防職員に団結権、協約締結権を付与することを改めて提言しました。これを受けて、政府は「地方法務員の労働関係に関する法律」案を11月15日、国会に提出しましたが、解散総選挙で審議未了廃案となりました。

政権交代で誕生した安倍政権は、消防職員の団結権回復に否定的であり、さらなる運動の強化が求められています。

D、意見

消防職員に団結権が保障されていれば、消防の専門家として、消防の広域化や救急医療体制の問題、消防力強化など、多くの課題を住民に知らせ、問題の解決につなげることができます。

日本政府はILOに対して、日本の消防職員がILO第87号9条でいう「警察」に含まれ ないという表明をしなければなりません。それに合わせて、警察職員と消防職員が組合を結成すること、組合に加入することを禁じている地方公務員法第52条 第5項から「消防職員」の4文字を削除するための地方公務員法改正の国会審議が必要です。また、国際人権規約批准の際に表明した、「警察の構成員」に日本 国の消防職員が含まれるという解釈宣言を撤回しなければなりません。

団結権の保障は、「火災等による被害を軽減すること、災害等による傷病者の搬送を適切に行うこと」という消防に課せられた任務遂行にとって、現状の問題点指摘・改善・改良意見、提案自由にできる前提になり、消防力の充実を促進するために生かされます。

E、結論(解決のための提言)

消防職員の団結権保障問題は地方公務員制度改革とは別に審議されるべきです。国際的な懸案事項を解決するという取り組みが必要だからです。地方公務員法第52条第5項から「消防職員」を削除し、関連法令を整備するべきです。

私たちは、日本政府が消防職員の団結権に関する、国連・社会権規約委員会の勧告、およびILO結社の自由委員会・条約勧告適用専門家委員会の勧告を遵守し、日本の消防職員の人権が国際レベル(グローバルスタンダード)にまで保障されることを求めています。

15.教科書問題

事前質問22に対する日本政府回答の問題点(規約8条及び19条)(教科書問題)

事前質問22は次の5つの部分から構成されている。すなわち締約国が,

(1)第2次世界大戦中の軍による性奴隷慣行の被害者に対する虐待に対する法的責任を認めることを考慮したか,

(2)被害者に十分かつ効果的な救済策を提供するために立法上及び行政上の措置を取ったか,

(3)事実を捜査し加害者を訴追するつもりはあるか,

(4)この問題に関し一般公衆を教育するつもりはあるか,

(5)政府機関及び公的な人物による事実を否定しようとする最近の試みに対して措置をとるつもりであるか,

である。

 

日本政府の回答は回答書パラグラフ232~236で示されているが,その内容は(1)~(3)については締約国が前回報告書で述べたことを繰り返しているのみであり,なんら前進的な措置を取っていないことを示している。本報告は(4)~(5)に絞って,日本政府の回答を批判的に検討する。

 

パラ233及び234の内容は事実に反する。パラ233が意味するのは,1992年に発表された「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」(以下「河野談話」)のことである。河野談話は日本軍による性 奴隷慣行の事実を認め,謝罪したものであるが,安倍内閣はこれを見直すことを表明しており,それが国内外から批判されると,「見直しはしないが検証は行 う」という矛盾した方針を採っている。「安倍総理は,筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い,非常に心を痛めている。この点についての思 いは,歴代総理と変わらない」どころか,安倍首相自身が「事実を否定しようとする最近の試み」の実行者の一人である。(注)

 

とりわけ(4)について報告したい。日本では国立・市立・公立のすべての初級,中等前期及び中等後期の学校において,文部科学省が文部科学大臣の名において行った検定済教科書の使用が義務づけられている(学校教育法34条ほか)。これ自体が規約19条に反するものである。日本政府は第3回から第5回までの報告書でその事実を認める一方で,教育水準を維持するなどの目的を挙げてこれを正当化してきた。この状況はなんら変化がない,したがって規約19条違反状態が継続しているにもかかわらず,第6回報告書ではまったく教科書検定について言及していない。

 

2014年1月17日,中等前期及び中等後期の学校で使用される社会科教科書の検定基準が改定され,教科書発行者及び著者は「政府の統一的見解」を教科書 に記載することが義務づけられた。これは歴史修正主義者の要求を採用したものである。例えばその種のグループの一つである「新しい歴史教科書をつくる会」 は,2013年6月15日の総会で,「慰安婦」問題が教科書に掲載されていることを「自虐史観の極み」であるとして,その是正を要求する提言を採択している。改定された検定基準は,それを反映して「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていること」を義務づけている。2014年3月26の衆議院文部科学委員会で,下村博文文部科学大臣(教科書検定の責任者)は,河野談話は閣議決定されたものではないので「政府の統一見解」ではないと答弁した。批判を受けて撤回したものの,これが政府の本心である。日本政府回答書はこれらの事実に反している。

 

以上の事実に基づき,国際人権活動日本委員会は,貴委員会が総括所見において「慰安婦」 問題で日本政府が何ら前進的な措置を講じていないこと,政府機関及び公的な人物による事実を否定しようとする最近の試みについても同様であること,および 一般公衆を教育することについては,歴史修正主義者の要求を教科書に反映させようとしている事実に懸念を表明し,是正のための施策をただちに実施すること を勧告するよう要請する。

 

(注)

この主張を裏づける事実を列記する。

安倍首相は:

1)第一次安倍政権時代の2007年3月16日,「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする政府答弁書を閣議決定し提出した。

2)1995年に日本放送協会が「慰安婦」問題について東京で開かれた「国際女性戦犯法廷」に関する番組内容を政治的圧力によって改変させた。改変された番組では,歴史修正主義の立場に立つ大学教授のコメントが放映された。

3)諸々の歴史修正主義者の組織に所属して幹部を務めている。「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(初代事務局長で現顧問),同種の「神道政治連盟国会議員懇談会」(現会長),「日本会議国会議員懇談会」(現副会長)等々。

16.布川国家賠償請求事件

証拠のほとんどすべてを持っている検察官に対して、証拠を開示させる権利のない裁判は、公正な裁判を受ける権利を侵害し、自由権規約の 14条に反している。

 

冤罪・布川事件では、強盗殺人の犯人とされた二人の青年が、無期懲役の刑となり29年間獄中生活を強いられましたが、仮釈放後再審を請求し、2011年に再審で無罪となりました。弁護団の粘り強い活動によって証拠の一部が開示されて二人は無罪となりました。

現在、当事者の一人櫻井昌司さんが国と県の責任を問う国家賠償請求訴訟を起こしていますが、その裁判に必要な証拠を開示しようとしません。3月再審開始決定が出た袴田事件でも長い間証拠が開示されず、近年になって開示された600点に及ぶ証拠で無実が証明されました。

裁判員裁判の公判前整理手続きで証拠開示が行われるようになったといわれていますが、その範囲は限定的で、再審事件や国賠請求事件では、今なお、なかなか証拠は開示されていません。
日本の刑事手続きは当事者主義のシステムをとり、検察が一方当事者にすぎないからという理由で、検察にすべての証拠を法廷に出す義務がないとします。検察は自らの有罪立証に必要な証拠だけを出し、裁判官は提出された証拠を判断して判決を下します。検察は一旦犯人とすると、真実が何かということよりも、その人を有罪とするために何が何でも証拠を揃えようとする傾向があります。袴田事件では証拠の捏造までが指摘されています。

日本では、仮に被告人に無罪につながる証拠があり、それを隠したことがあっても、直ちに責任を問題とされることはありません。

 

このような、被告人に有利な証拠が隠されたままの裁判は、裁判官に目隠しをして判断をさせるに等しく、公正な裁判とは言えません。国民の公正な裁判を受ける権利が侵害されています。

[1] 請求人からの不服申立の提出等に際し、実施機関の諮問に応じて審査を行い、その実施機関の長に答申する機関

[2] 実施機関が、条例の適用除外規定に基づいて取扱いを行おうとするとき、事前に意見を聴く機関

[3] 2013年11月28日「こころとからだの学習裁判」最高裁判決原告団・弁護団・裁判支援全国連絡会 声明 http://kokokara.org/pdf/kokokara_news/SEIMEI_2013_1130.pdf

[4]  広瀬裕子「学校の性教育に対する近年日本における批判動向―「性教育バッシング」に対する政府対応―」(『社会科学年報』48号 2014) http://www.senshu-u.ac.jp/~off1009/PDF/nenpo48-8.pdf

[5] 児玉 勇二『岩波ブックレットNo.765 性教育裁判−七生養護学校事件が残したもの』

[6] 「こころとからだの学習」裁判支援サイト http://kokokara.org/

[7]  「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」「入学式、卒業式に置ける国旗掲揚及び国歌斉唱に関する実施指針」 http://yobousoshou.blogspot.jp/2006/02/translation-of-1023-directive-or-1023.htm

[8] 自由権規約委員会における第6回日本政府報告審査に対するカウンターレポート<国際人権活動日本委員会 (JWCHR) 2013年7月20日> http://jwchr.s59.xrea.com/x/shiryou/20130720Parallel%20Report%20to%20CCPR.pdf

[9]  同上 61㌻

[10]  同上 60㌻

[11]  同上 61㌻

 

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